鹿城西、初の甲子園へ

初の甲子園出場で歓喜する鹿城西ナイン

「チーム一丸、全国制覇目指す」
センバツ

 【鹿児島】第92回選抜高校野球大会(センバツ)の選考委員会が24日、大阪市内であり、出場32校の顔ぶれが決まった。鹿児島からは鹿児島城西が創部以来春夏通じて初となる甲子園出場を勝ち取った。鹿児島からのセンバツ出場は16年の鹿児島実以来4年ぶり。

 鹿城西は昨秋の県大会準優勝で九州大会に出場。佐賀学園、城北(熊本)にコールド勝ちし、4強入りした。野球部は1954年の創部。近年はシード校入りして優勝候補の一角に挙げられるも、あと一歩で涙をのみ続けた。18年1月から元プロ野球選手の佐々木誠監督が就任して2年、創部以来の悲願が叶った。

 ナインは日置市伊集院町のグラウンドで練習をしながら「吉報」を待った。秋武達朗校長からセンバツ出場の報告が入ると、1、2年生部員42人全員で帽子を飛ばして歓喜。佐々木監督は胴上げされて宙を舞い「甲子園から招かれた。ありがとう。鹿城西旋風を巻き起こし、一戦一戦成長する姿を楽しみにしている」と選手に感謝を述べた。古市龍輝主将は「目標は日本一。チーム一丸となって、僕たちが目指す相手を圧倒する野球を甲子園でやる」と決意を述べた。

 野球部へのサプライズもあり、3年生マネジャーの飛松姫世さんは「96」の背番号を刺しゅうした熊のぬいぐるみをプレゼント。苦労することの大切さを身に染みている佐々木監督が一番大切にしている番号だという。野球部OBのケーキ職人・神野真一さんからは祝いのケーキが贈られた。

 組み合わせ抽選会は3月13日にあり、大会は19日から阪神甲子園球場である。佐々木監督は「初出場で緊張すると思うが、緊張するのももったいない。特別な準備はないので、普段通りの野球をやって楽しんで欲しい」と選手に期待していた。

 

「悔いの残らない試合を」田代(朝日中卒)
「ホームランで恩返し」長(古仁屋中卒)

 奄美関係ではセンバツの参考資料となった九州大会で2年生の田代優晟(朝日中卒)=写真左=と1年生の長隆稀(古仁屋中卒)=写真右=の2人が中心選手として活躍。「正直うれしい」(田代)と「吉報」が届いた喜びを語った。

 外野手の田代は、県予選は背番号16だったが、九州大会ではレギュラー番号の9を背負った。5人兄弟の末っ子でうち上の3人は空手部で全国を経験している。年子の兄・優翔さんと2人は野球選手で「兄と一緒にやりたかった」と鹿城西に進学した。優翔さんのいた3年生のチームは夏の優勝候補に挙げられる力があったが、4回戦で鹿児島玉龍に無念のコールド負け。その「雪辱」を弟が晴らした。「初めて出る甲子園なので、悔いの残らない試合をしたい」と意気込みを語った。

 長は三塁手のレギュラーで県予選、九州大会とも攻守でコンスタントに活躍した。夏の悔しさを経験し「先輩たちとも全員でミーティングして、悔しさを秋に絶対に晴らそうとチーム一丸となって戦えた」ことがセンバツを手繰り寄せたと感じている。甲子園では「親にも散々迷惑をかけているので、甲子園でホームランを打って恩返ししたい」と決意を話していた。(政純一郎)