海外の専門家が蔵元訪問

黒糖焼酎の仕込みの様子を見学、真剣な表情でメモなどを取るWSETの講師ら

黒糖焼酎の製造工程など見学
試飲会などで交流も

 英国ロンドンに本部を置く世界最大のワインや蒸留酒の専門家養成機関(WSET)の講師らが24日、黒糖焼酎の酒造メーカーなどを視察するため奄美大島に来島した。一行は、奄美市や龍郷町の蔵元などを訪問、黒糖焼酎や原料となる黒糖の製造工程などを学んだほか、試飲会などを通して酒蔵関係者らと交流を深めた。

 県産焼酎の輸出拡大などを図る県事業の一環で、イギリスやアメリカなどの蒸留酒の専門家ら11人が、奄美市のきょら海工房で黒糖の製造方法などを学んだほか、龍郷町の町田酒造と同市の富田酒造場で黒糖焼酎の製造工程などを視察した。

 町田酒造では、焼酎の貯蔵タンクや原料の黒糖を蒸気で溶かし、米麹からもろみをつくる一次仕込み、さらに原料の黒糖を加え発酵させる二次仕込み、蒸留などを経て焼酎が完成するまでの製造工程などを見学。講師らは、蒸留前のもろみや黒糖液を試飲したり、工程について同酒造開発本部長で杜氏の長谷場洋一郎さん(62)などから説明を受けながら、真剣な表情でメモを取るなどしていた。

 見学後には同酒造でつくられた黒糖焼酎の試飲が行われ、アルコール度数や蒸留方法、貯蔵期間などの違うさまざまな銘柄の焼酎を飲み比べ、香りや味を確かめていた。

 WSETの新規事業担当ディレクターとして今回の来島などを企画、23日には県から「かごしま焼酎大使」の委嘱も受けたアントニー・モス氏(46)は「ラム酒が好きなので、黒糖を原料にした焼酎づくりを見ることができたのはとても素晴らしかった。米や芋焼酎とはまた違った魅力を感じた。個人的には常圧蒸留した焼酎が気に入ったが、どの銘柄も香りや味も素晴らしかった」などと話した。

 案内した長谷場さんは「海外から足を運んでもらい、黒糖焼酎を飲んでもらえたことがとてもうれしい。黒糖焼酎を通して奄美の自然や文化にも触れてもらい、海外でその魅力を発信してもらいたい」と笑顔。視察の途中には、工場内で満開を迎えたヒカンザクラを写真撮影する場面もあるなど、奄美の自然も気に入った様子だった。