マングース防除検討会

19年度11月末までのマングース防除事業結果や根絶確認手法の検討などを協議した

根絶確率の試算 数理モデルで可能
19年度11月末まで捕獲ゼロ
20年度計画案 全てモニタリング区域に

2019年度奄美大島におけるフイリマングース防除事業第2回検討会(座長・石井信夫東京女子大学教授)が29日、奄美市名瀬のAiAiひろばで開かれた。19年度(11月末まで)のわなによる総捕獲数はゼロ。捕獲は18年4月を最後に、ゼロが2年近く継続している。根絶確認手法や、根絶後のモニタリングの作業継続などを協議した。根絶を確認する数理モデルを開発試行し、根絶確率の試算可能との報告もあった。

同省は00年度に奄美大島でのマングース駆除事業を開始。05年度からは「奄美マングースバスターズ」を結成し、外来生物法に基づく防除事業を実施してきた。

13年度には、22年度までの10年間で奄美大島からのマングースの完全排除を目標とする「第2期奄美大島におけるフイリマングース防除実施計画」を開始。19年度11月末段階で、捕獲数はゼロで18年度同時期の1匹を下回った。捕獲努力量を示すのべわな日は、18年度同時期より約17%減少し約155万わな日だった。

19年度11月末までのマングース探索犬による探索状況は、ふん探索犬は156ペア日で318㌔、生体探索犬は439ペア日で881㌔の探索作業を実施。痕跡やマングースの臭気を探知した反応は見られなかった。

マングースの駆除が進み回復傾向にある在来種に関して、従来の筒わなでアマミトゲネズミやケナガネズミの混獲発生も報告。事務局は「アマミトゲネズミの混獲回避に延長筒わなを開発し、同種の生息地域では可能な限り延長筒わなの捕獲を実施。ケナガネズミが多くなる冬期には、同種の生息地域で筒わなの捕獲を行わない冬期ロックの措置を取っている」と説明した。

20年度計画案では、19年度末まで捕獲ゼロでマングース生息の情報がない場合は、重点区域だった湯湾岳エリアが移行基準を満たすとして移行させ、奄美大島の全てのエリアをモニタリング区域として防除事業を実施予定。また専門家との連携による根絶確認手法の検討や、マングース防除事業の普及啓発なども行う。

18年度から検討を始めているマングース根絶の確認手法について、数理モデルを構築して根絶達成確率の算出・解析を試行。事務局は「18年度までのマングース防除事業のデータを用いて根絶確認モデルを試した。19年度当初の作業エリアの根絶確率を算出できた。新たなモデルで出した全島の推定個体数と、従来の推定とほぼ同様な結果が得られた。精度を高めるため、試行結果の検証・モデルの改善を実施したい」とした。

石井座長は、「この事業は、根絶を達成しなければならないもの。うまくいけば世界でも初の事例になる。慎重に取り組んでいく必要があるだろう」と話した。