九州経済研・福留さん講演

「2020年の奄美経済」と題し講演する九州経済研究所経済調査部部長の福留さん

「ポテンシャルあり入念準備を」
法人会セミナー 奄美経済の動向や展望に迫る

 公益社団法人奄美大島法人会(有村忠洋会長)の経営セミナーが29日、奄美市名瀬の奄美観光ホテルであり、㈱九州経済研究所経済調査部部長の福留一郎さんが「2020年の奄美経済~展望と課題~」と題し講演した。世界自然遺産登録を目指す奄美については「ポテンシャルはある」と評価しつつ、「わっと来た時どうさばくかが課題。レンタカーや施設など入念に準備を」と述べるなど、奄美経済の動向や今後の展望に迫った。

 会は会員の交流の場として企画。約90人が参加し、奄美経済の動向や展望に耳を傾けた。

 福留さんはまず、48年ぶりの鹿児島国体の経済効果を619億円と試算した上で「東京五輪やパラの熱量をそのまま生かせばそれ以上の効果も期待できる」と県の動向を示唆。世界自然遺産登録で外国人観光客などの増加が見込まれる奄美については「アドバンテージはLCCやクルーズ船。いかに降りた客を群島各地に広げられるか。線でなく面で充実させてほしい」など訴えた。

 また、大河ドラマ・西郷どん効果に沸いた2018年以降を県の観光動向調査で振り返った福留さんは「好調に見えたが(景況感は)ずっと右肩下がり」とその実態を分析。特に奄美では、台風や天候不良によるシーズン中の落ち込みが顕著とし、「気象には逆らえない。シーズンに稼げないことも見越した通年プログラムも考えなければならない」などアドバイスした。

 今後の展望については、若者化するシニアの食や増加する食費に目を付け、地域の気候や特性を生かしたK―GAP取得やスマート農業などを推奨。「奄美は全国のモデル地区になる可能性を秘めいている。2020年をステップに、大きな飛躍の年にしてほしい」などエールを送った。