奄美市学校保健研究会

いのちの授業」を講演した久保田千代美さん

 

 

苦しみ理解へ「いのちの授業」
学校給食センター 献立表、方言名表記も

 

 奄美市学校保健会(徳田英弘会長)と市教育委員会は5日、同市名瀬の奄美文化センターで2019年度奄美市学校保健研究会を開いた。教職員や学校保健関係者や一般などが参加し、研究発表や特別講演が行われた。全国で活動する講師から「いのちの授業」で、他人の苦しみを理解し具体的にどう行動すべきかを学んだ。

 徳田会長が開会のあいさつ。要田憲雄教育長の来賓あいさつに続いて、栄養教諭部会の藤原沙貴栄養教諭が「学校給食センター1年目の取り組み」を発表した。

 同センターでは1日2通りの献立を合わせ、3700食ほどを調理。食材を下処理する区域と調理する区域(非汚染作業)を分けて調理するため、調理員は作業服を替えエアクリーニング室を通り調理する区域に移動するという。

 また食中毒防止の観点から、生野菜のサラダは給食に提供されない。藤原栄養教諭は「アレルギー対応食の提供もある。子どもたちに奄美の食材を知ってもらうために、献立表に方言名で表記する取り組みも行っている」と話した。

 続いてChiyomi Kubota Care研究所代表の久保田千代美さんが講師となり、特別講演「折れない心を育てるいのちの授業」を実施。(一社)エンドオブライフ・ケア協会が提唱する「いのちの授業」は、様々な困難に遭遇する人生で自分の苦しみに向き合い、また目の前で苦しんでいる人に関われる実践を通し自尊感情や自己肯定感を育む目的。

 久保田さんは、「苦しみは解決できるものと解決できないもの二つに分けられる」と説明。「解決できない苦しみは、支えがあれば穏やかになれる。もしも目の前に苦しんでいる人がいたら、その苦しみに気付くことが大事になる」と語った。

 参加者に反復を用いた会話を実践させ、「会話では『そうなんだよ』と返して待つことが大事になる。たとえ苦しくても、自分を認めてくれる誰かとのつながりを大切にして」と締め括った。