世界自然遺産推進共同体

海岸に打ち寄せられた漂着ごみを拾う参加者ら

漂着ペットボトルの原産国を調べる参加者ら

登録を後押しあやまる岬海岸清掃
漂着ペットボトルの原産国調査も

 民間企業や団体などで組織する「世界自然遺産推進共同体」(代表=久見木大介・日本航空鹿児島支店長)は15日、奄美・沖縄の世界自然遺産登録を後押しする活動の一環として、奄美市笠利町のあやまる岬北側海岸で清掃活動を行った。共同体に加盟する企業団体関係者や一般市民ら90人が参加、約1時間かけて漂着ごみを拾った。

 太平洋に面した同海岸には、潮の流れなどによってペットボトルや発泡スチロール、流木など大量のごみが漂着。参加者らは約500㍍の砂浜を歩きながら一つ一つ拾っていった。約1時間の活動でペットボトルが44袋(45㍑袋)、プラスチックや発泡スチロールなどの燃えるごみ86袋、空き缶などの燃えないごみ20袋が集まった。

 流木やブイなど袋に入らない大きな漂着ごみも多く、活動を企画した共同体事務局の栄正行JAL鹿児島支店奄美営業所長は「予想以上に多くのごみがあった。あやまる岬は多くの観光客が訪れる場所なので、きれいにすることができて良かった」と話した。

 清掃活動後は、ペットボトルのラベルから原産国を調べる活動も行われ、中国(336本)、韓国(45本)、ベトナム(28本)、台湾(20本)などの国々のペットボトルがあった。国内のペットボトルは28本だった。

 家族や職場仲間と一緒に参加した奄美市名瀬小浜町の会社員、川崎貴美子さん(43)は「遠目にはわからないが、海岸に下りるとごみがたくさんあって驚いた」と話し、長男で金久中学校2年の僚太くん(14)は「ペットボトルがこんなにたくさん捨てられているのにびっくりした。みんながちゃんと分別してリサイクルすれば、こんなことにならないのに残念に思った」と話した。

 同共同体は昨年8月、民間の立場から世界自然遺産登録を推進しようと日本航空(JAL)などの呼びかけで県内の企業団体が参加し発足。現在は53の企業団体が加盟している。これまで県や奄美群島の自治体、大学などが主催するイベントなどの支援活動を行ってきたが、今回初めて、独自の取り組みとして清掃活動を実施した。久見木代表は「初めての清掃活動だったが、多くの人に参加してもらい感謝したい。今後も継続し、奄美群島全体に活動を広げていきたい」と話した。

 集められたごみは、奄美市が漂着ごみとして処分することにしており、活動に参加したし環境対策課の平田博行課長は「行政だけでは清掃活動に限界がある。民間でごみ拾いをしてもらいありがたい。こうした取り組みが市民の環境意識の向上につながることを期待したい」と話した。