自然遺産シンポ

パネリストが観光の方向性など意見を出し合った

観光、伝統継承で「広域連携」
「観光の総量規制」提案も
瀬戸内町で

 第4回「奄美世界自然遺産推進シンポジウム」が14日、瀬戸内町古仁屋のきゅら島交流館であった。今夏実現を目指す奄美・沖縄地域の世界自然遺産登録を見据え、登壇したパネリストが伝統文化の継承や持続可能な観光など様々な視点で意見を交わした。

 県大島支庁が主催する奄美世界自然遺産推進シンポジウムとして、▽希少種保護や外来種対策▽伝統文化の継承と発信▽持続可能な観光―の視点でディスカッションをこれまで3回開催。最終回の今回は「屋久島・沖縄との広域連携」をテーマに、実現後に形成される世界自然遺産ライン(屋久島―奄美群島―沖縄)の中での“奄美”の立ち位置について考えた。

 この日は奄美大島島内外からパネリスト4人が参加。環境省沖縄奄美自然環境事務所長の東岡礼治さんは観光客が増えすぎる問題「オーバーツーリズム」に触れ、頻繁なナイトツアーなど自然界への影響を危惧。「季節や時間帯を配慮した『観光の総量規制』も考えていくべき」などと指摘した。

 鹿児島大学准教授の小栗有子さんは島内で取材をしたことを踏まえ、「本土にはない文化が色濃く残っており、積極的に発信していくことが重要」と述べたほか、地域づくりのあり方として、ホテル「THE SCENE」総支配人の小林良輔さん、おきのえらぶ観光協会長の前=すすめ=登志朗さんは観光発展、人口を増やす雇用体制などを語った。

 (公財)屋久島環境文化財団理事長の小野寺浩さんは基調講演の中で、アジア圏を視野にした観光展開を提言。「一過性にならず、広域的で持続可能な観光を島民全体で考えてほしい」と訴えた。