徳之島3町議会いろいろ

ふるさとの「今」を伝えるネット中継は、全国に暮らす出身者たちのニーズでもある(配信例)

「一長一短」や「格差」解明
「気づき」でニーズ対応を

 各自治体首長の2020年度施政方針や同当初予算案などをただし審議した3月定例議会が終盤入り。徳之島3町ではきょう23日の天城、伊仙両町の最終本会議が締めとなる。

 一般質問など3町の議事日程の重複には毎回苦心させられるが、社会常識となったインターネットライブ中継はありがたい。依然、収束が見通せない新型コロナウイルス対策では、直接傍聴の自粛に貢献していよう。

 議場行脚の時代を通じ、岡目八目(おかめはちもく)的に取材する立場からだと3町間の「一長一短」や「格差」が鮮明に映る。今3月定例会を機に、単刀直入に聞いてみた。

 ■徳之島町長の議会答弁

 住民代表の町議らが一般質問の通告でまず答弁を求めるのは首長のはず。だが、徳之島町議会一般質問への高岡秀規町長の姿勢はまるで、衆参両院予算委員会などに見る内閣総理大臣のパターンといってよい。

 地方自治体間の特色はあろうが、同町ではまず各主管課長らが第1回答弁に立たされる。諸課題に対して首長が政策的方針・責任も明確に冒頭に示すべきところを、部下たちが戸惑いつつ代弁するような不思議さがある。

 高岡町長はインタビューに、「(町長)就任当初は先だった。各課長にも勉強をしてもらい責任も持たせるため、順番には拘らなくなった」。だが「分かりやすい答弁にするためには、各課長たちとも検討して見直していきたい」。気づきの柔軟な姿勢を示した。

 ■天城町、ネットは後手に

 徳之島での議会中継のトップランナーは天城町だ。1998年度のCATV(有線テレビ)「天城町ユイの里テレビ」(AYT)開局に伴い、一般質問の町内中継を始めた。ICT(情報通信技術)を活用し、「より開かれた町議会」による「議員個々の質問や政策提言能力、執行部の施策推進や説明能力など双方の資質向上にもつながった」など高評された。

 その後、伊仙町が2011年度、徳之島町も12年度からインターネット中継で町内外のニーズに応えた。議会中継のトップランナーだった天城町がwww(ワールド・ワイド・ウェブ)網に乗せたのは13年9月のこと。ところが伊仙、徳之島両町は一般質問や議案審議、臨時議会も含め全般を中継対象にしているのに対し、天城町は「開会初日と一般質問のみ」のまま〝情報格差〟が生じている。

 森田弘光町長は現状に「住民への情報開示、開かれた町政の観点からも、積極的にPRできるよう議会側にも働きかけたい」。武田正光議長も「その考えに否定的ではない。住民の皆さんに視聴していただき評価を得ることが重要。議員全員協議会で揉みたい」。

 ■伊仙町議会の時間軸

 伊仙町は、新年度当初予算審査特別委の一部始終を含め本会議場における議事関連を全てライブで公開。潔(いさぎよ)さがある。議会運営は「わが道を行く」が如く臨機応変、変則運営の伝統は健在だ。

 今定例会も開会早々に計13議案の審議を優先後、大久保町長が施政方針を説明。2日目は現地調査。一般質問は3日目午後2時前に始まったが、同4時20分ごろ「時間不足」で中断し翌4日目に「延会」。ところが、異例の同一議員の一般質問の続開を棚上げして、初日に否決された19年度一般会計補正予算案を一部組み替えた追加提案の審議を優先させた。

 変則極まりない議会運営に加え、一般質問や当初予算案審査特別委質疑では、町執行部が基礎的資料の答弁に窮しての議事中断(休憩)も漫然と繰り返した。

 社会規範の基礎ともいえる時間設定・厳守について、明石秀雄議長は「拮抗(きっこう)した現状ではしたくてもできない面も」と水面下での派閥間の吐露。尋常ではない中断(休憩)回数には「質問は分かりやすく個条書きでと要請。課長の多くが1月に代わったばかりで、慣れていない点もある。私自身(昨年12月)議長になったばかりだが、議会改革に努力したい」と話してくれた。

 (米良重則)