「ホザキザクラ」開花

小さな花を咲かせている「ホザキザクラ」(西康範さん撮影)

夜露含みしっとりと

 奄美大島南部で「ホザキザクラ」が小さな花を咲かせている。西康範さんが撮影した。葉や茎に腺毛が密生し夜露に覆われており、しっとり感が伝わる。純白の花びらは、まるで造形物のようだ。

 『琉球弧・植物図鑑』(南方新社発行)によると、種子島・屋久島~琉球にかけて分布。低地の林縁や草地に生える一年草で、全体に長腺毛がある。サクラソウ科。

 茎は直立し、高さ3~16㌢しかない。白い花の径は4~5㍉(花冠は5裂)。奄美の植物に詳しい山下弘さんによると、かつて名瀬近郊の開けた草地に多く自生していたところから、「ナゼザクラ」とも呼ばれていたという。なかなか気付かない小さな花だが、日当たりのよい原野など特定の場所で自生している。花期は2~9月と長く、山下さんは「自生地で草刈りをする場合は、時期に注意してほしい」と呼び掛けている。