若い世代目立つも団体客ほぼゼロ

春休みシーズン、若い世代の旅行が目立つ(写真はせとうち観光案内所)

終息見通し立たず 春休み後も不安の声
島内観光案内所

 県内公立の小・中学校が春休み初めての週末を迎えた。いつもは奄美群島外からの学生や家族でにぎわうシーズンだが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で観光目的の入込は落ち込み傾向。奄美大島島内の観光案内所からは「若い世代の来場や利用は例年と変わらない」としたが、「2月から同窓会や慰安旅行など団体での立ち寄りはほぼない。全体的には来場者数は減っており、いつ終息するか…」と不安視する。

 新型ウイルスの感染拡大を防ごうと、3月に入って関東や関西では外出の自粛要請が行われている。経済活動への影響が指摘される中、奄美でも観光業への余波が懸念される。

 28日、同島内の観光案内所では朝から、訪れた観光客や問い合わせに対応していた。カップルがお勧め観光スポットのルートを聞くと、対応者が地図を見せながら最短距離、道中の休憩所やトイレも合わせて伝えた。

 友人と加計呂麻島まで足を延ばしたという愛知県の女性(31)は「比較的コロナ感染の影響が小さい奄美で旅行を楽しめ、静かな環境で癒されました」と話した。

 案内所関係者は全国的な移動自粛から「前年に比べ、来場者数は間違いなくダウン。感染者数の終息見通しが立っていないので、大型連休も厳しい状況が続くのでは」と口をそろえる。

 奄美市笠利町のあやまる岬観光案内所は、奄美空港に近いため来島直後の立ち寄りも少なくない。観光客は若い世代がほとんどで、移動手段はレンタカーが目立ったという。感染対策で現在、飲食物などの軽食はテイクアウトのみだ。

 同市住用町の観光交流施設「三太郎の里」は団体客の激減を危惧。「若い世代や家族旅行が訪れるが、団体客の減少が大きく作用している」。瀬戸内町のせとうち観光案内所は「加計呂麻島など離島に向かう移動客が立ち寄るため、混雑度は比較的変わらない」としたが、4月以降について「見通しは不透明」とした。

 観光客側も複雑な胸の内を明かす。夫婦で来島した東京の男性会社員(28)は「この時期の旅行に罪悪感がないわけではない。都心は制限機運が高まりすぎて、一時的でも気持ちを開放したかった」と本音を漏らした。