県知事、都市圏への訪問自粛

空港ロビー内は終日搭乗客の姿があった(31日午後2時ごろ、奄美空港)

搭乗客「多い地域に言うべき」「急な要請困る」
奄美空港・搭乗客

 新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ三反園訓県知事が、県民に大都市圏への不要不急の訪問を自粛するよう呼び掛けた異例の要請から一夜明けた。年度末最終日となった31日、奄美市笠利町の奄美空港では、仕事や帰省で東京や大阪に向かう搭乗客の姿が見られた。

 三反園知事は30日午後、会見で4月5日までの1週間、東京、大阪、愛知の3大都市圏への訪問自粛を要請した。学生旅行など移動機会が増える時期を懸念したもので、特に首都圏でウイルス感染者数が連日急増していることに触れ、「感染が拡大している地域への“不要不急”の訪問を控えてもらいたい」と異例の呼び掛けをした。

 この日、同空港内はそれほど込み合ってはいなかったが、1階チェックインロビーは手続きを行うUターンや転勤する搭乗客が窓口に列を成した。

 実家の用事で帰省したという同市名瀬出身で、千葉県の男性会社員(38)は「都会のほうが感染リスクは高いので帰省は安心していた。戻ったら手洗いやマスク着用必須。少し面倒くさくもある」。また異動で県本土に向かう宇検村の男性(24)は「奄美では入込客から感染する可能性が高いと思う。地元への自粛要請と合わせ、感染者の多い都市圏にも(自粛を)求めるべきでは」と知事発表に意見した。

 今回の要請に旅行客からも戸惑いの声が。奄美に3泊滞在した京都市の女性(39)は「ずっと準備を進めてきたので旅行を決行した。チケットのキャンセル料を保証してくれないなら、一方的に求められても困る」と苦言を呈した。

 県は26日、英国から帰国した40代女性の感染確認を発表した。県内では初めて。女性は現在入院中で、容態は安定していることなどが報告された。