多業界に影響深刻、利用者から嘆きの声

緊急個別相談会が開かれた奄美大島商工会議所

商議所相談会
「融資受けるか判断できない」「手続き煩雑」「借金増えるだけ」

 奄美大島商工会議所主催の新型コロナウイルス影響関連「緊急個別相談会」が10日、同会議所であり飲食業・観光業・サービス業など、多くの事業者が融資や雇用調整助成金などに関する相談を持ち込んだ。相談に訪れた事業者からは深刻な影響を嘆く声が聞かれた。

 奄美市名瀬の飲食店店主の60歳代男性は「2~3月ごろから影響が出始め、4月の売り上げは例年の10%程度。3月は12月の次に忙しい月にならなければいけなかったのに、送別会のキャンセルも多かった。歓迎会も全然ない。店を閉めることはないが、今後が心配。4~6月を我慢できるかが勝負」と話す。

 家賃も電気料金などもかかるため、影響が長引けば負担が増加する。「無利息の融資を期待してきたが、ないと聞いた。借りられるかどうかが分かるのが2週間後、融資まではもっとかかると言われた。今欲しいのに」とこぼした。

 同市名瀬の別の飲食店を営む40歳代男性によると、3月の売り上げは前年同月比25%減、4月は半分以下に落ち込むと見込まれるという。融資の種類を質問しに相談会に訪れたが、「先行きが見えず融資を受けるかどうかの判断できない。1年以上この状態が続くなら、今すぐ店を畳んだ方が良いと感じる」とした。

 観光業への影響も大きい。休業補償について相談したという奄美市で観光業を営む男性(40)は「3月はまだ大丈夫だったが、4月は予約客のほとんどがキャンセルになり、売り上げは例年の1割にも満たない状態で、開店休業状態。従業員3人の休業補償について相談したが、手続きも煩雑で、補償額など具体的な提示もない。本当に休業して大丈夫なのか不安が残る。国は自粛を要請するのであれば、しっかりとした具体策を示すべき」と話した。

 別の観光業の奄美市の60歳代男性は「世界自然遺産登録を見越し、機材購入など先行投資したが、このままでは負担が増えるだけになってしまう。融資も考えたが、借金が増えることになる。返済できるあてがなければ、借りるわけにもいかない」と不安を口にした。

 観光宿泊業も営む同市名瀬の30歳代男性は「今月6日からは受け入れをストップした。夏までに収まらないと、来年の2月ぐらいまで影響が伸びる」。同相談会については「行政の窓口が多すぎる。コロナに関するワンストップの窓口を作ってもらわないとわからない。そういった意味で、今回の相談会はありがたかった。相談したことで前向きな気持ちになれた」と語った。

 同市名瀬のサービス業役員男性(30歳代)は「売り上げは20%ほど落ち込んでいる。今でも厳しいので早く終息してほしい」。雇用調整助成金について相談に来たというが、「もっと条件を緩めてほしい。こんなに厳しいと、飲食店などでは出ないのではないか。納得のいく回答は得られなかった」とした。