水生移入生物調査を報告

捕獲されたグリーンソードテール(提供写真)

「グリーンソードテール」204匹捕獲
海洋生物研

 奄美海洋生物研究会(興克樹会長)はこのほど、河川に生息する外来種などを調査した「令和年度水生移入生物分布調査及び駆除事業業務報告書」をまとめた。龍郷町の大美川でナイルティラピア21匹、半田川でグリーンソードテール204匹など外来種を多く捕獲した。奄美大島の河川には世界で唯一リュウキュウアユが生息しているため、外来種の根絶が望まれる。

 調査期間は2019年7月1日~11月30日。調査したのは奄美市の住用川・役勝川、龍郷町の大美川とその水系、宇検村の河内川。これらの河川全体でナイルティラピア21匹、コイ22匹、スッポン12匹、アカミミガメ1匹、グリーンソードテール204匹を捕獲した。

 同報告書によると、リュウキュウアユ生息河川である住用川では、国内外来種であるコイが生息しており、貝などの在来種への影響が懸念されている。これらのコイは1995年に放流されたもの。駆除も行われたが、逃げた個体が下流に住み着いている。

 奄美大島には淡水ガメの在来種はおらず、スッポンやアカミミガメなどすべての淡水ガメが外来種だ。特にスッポンはさまざまな餌を食べるため、多様な在来種への影響が懸念されている。

 大美川水系半田川上流には、かつてティラピア養殖場があり、逃げ出した個体が定着したとみられる。特に新大美川橋から大美橋にかけては、ナイルティラピアの大型個体が多く生息し繁殖場所となっている。捕獲された中で最大の個体は45・5㌢に及んだ。

 グリーンソードテールについては、2018年度は捕獲数50匹
にとどまったが、2019年度は204匹と、再度大発生している。

 同報告書では▽外来水生生物の完全駆除を目指す▽奄美大島全域が希少な水生生物の生息地だということを地域住民に周知する▽外来種を遺棄しない▽誤って放流した外来種は捕獲するーことを呼び掛けている。