田中新支庁長インタビュー

※撮影のため着用マスクを一時的に外しています

「大変な時期だが、きばりんしょろ」
職員一体でコロナ危機に取り組む

2017年4月から2年間、県大島支庁総務企画部長として勤務し、地域振興や観光を主に担当。昨年度の異動で県本庁の企画部次長を務めた後、1年ぶりに奄美へ帰ってきた。離島振興、交通政策などを所管した本庁業務は奄美群島にとって重要分野ばかり。何らかの形で、奄美との関わりは続いていたことになる。3月から続く、新型コロナウイルスの感染拡大という全国・世界的な苦難にどう取り組むのか。田中完支庁長に意気込みを聞いた。

―再び奄美での勤務。本庁勤務を経て、今回の赴任をどのように考えている。

支庁長就任の人事には驚いたが、また奄美の皆さまとお会いできた巡り合わせに感謝したい。4月着任から約1カ月経ち、大好きな奄美に戻ってきたことを実感している。

1年前の役職では、観光を中心とした実効性のある地域振興を進めていた。一方、支庁長という立場は前述の分野に、保健福祉環境部、農林水産部、建設部などが幅広く加わる。

当然、その分責任が増すことを感じており、群島全体を見ていくため組織の横断的な取り組みを念頭に入れていかないといけない。

―本庁企画部の勤務はどういかされる。

奄美のほか、多くの離島を抱える鹿児島県で、離島振興は重要政策の一つ。いったん奄美を離れたことで、県政全体の中での奄美群島の位置づけを俯瞰=ふかん=してみることが出来た。あらためて奄美の魅力を知る期間だったと考えている。

―今年は奄美・沖縄地域の世界自然遺産登録実現のほか、東京五輪、かごしま国体の開催など重要行事が予定されていたが、新型コロナの影響で今後の情勢が不透明となった。

年の当初は観光機運の高まりが期待されていたが、そのすべての見通しが立てられなくなった。奄美の地域経済へのダメージが危惧されている。もしかすると、視点や価値観、交流のあり方が変わるほど甚大な影響を予感している。 

はからずも大変なタイミングで赴任したが、先を見据えた対応を考える腰だめの大切な時期。まずは「自分を守る、社会を守る」という意識を、職員が率先して感染症対策に取り組めるようつとめたい。

群島民が登録を待ちわびる世界自然遺産は、自然保護だけでなく地域の一次産業や建設業など各産業にも関わるテーマ。どのように生かしていくかを意識することが問われている。奄美という財産を守るため、各部課や事務所が“大島支庁は一つ”の気持ちを持つようにしたい。

―前回の大島支庁勤務時から、奄美に魅せられている。

県にとって奄美は貴重な宝。その土地のことを知り、住民と寄り添うことを常に心掛けてきた。以前も時間をつくって、群島各島を回りながら集落に足を運び、住民と交流を重ねてきた。あらためて奄美を愛し、島人(しまっちゅ)のために尽くす気概を持っている。

知れば知るほどその魅力に取りつかれた かけがえのない奄美で、任期中は充実した時間を送りたいと思う。好きな島口は「まーじんま きばりんしょーろ(一緒に頑張ろう)」。地域とともに、新型コロナの苦難を乗り越えたい。

メモ

(たなか・かん)鹿児島市出身。家族構成は妻と子ども1人で、単身赴任。横浜市立大学商学部卒。本庁勤務時は「あまみエフエム・ディ!ウェイヴ」を愛聴。好きな番組は「オバとジジネタ」「シマユムタイム」。趣味は奄美の歴史を学ぶこと。59歳。

(川内 博文)