家賃減額動き広がる

多くの飲食店が営業を自粛している屋仁川通り

奄美市の飲食店 経営者歓迎「大変ありがたい」
オーナー負担増に懸念の声も

新型コロナウイルスの感染拡大や国の緊急事態宣言を受け、営業自粛を余儀なくされている飲食業者らの負担を軽減しようと、奄美市内のテナントビルなどのオーナーが家賃を減額する動きが広がっている。営業再開の時期が見通せず、店舗の家賃負担が経営者に重くのしかかる中、「家賃の減免は大変助かる」と経営者らが歓迎する一方、「オーナー側に負担を強いるだけでは問題解決にならない」と国や自治体による早急な支援を求める声も上がっている。

奄美市名瀬の歓楽街「屋仁川通り」周辺のテナントビルでは5月分家賃の全額免除や5~7月まで3か月間半額にするなど、オーナー側が独自に飲食店を支援する動きが出始めている。

5月の家賃が全額免除になったテナントビルで接客業を営む女性(40代)は、「4月の売り上げが7割近く減少し、従業員の給料を支払うのもギリギリの状態だった。5月の収入の見通しも立たず、家賃をどうしようか悩んでいただけに大変ありがたい」と喜ぶ。

同市名瀬港町の屋種夫さん(78)は、オーナーを務める市内の商業施設8店舗の家賃を5月から3か月間、半額にした。3か月間で約100万円の減収となるが、「商売をしている人は、客が減って大変な思いをしている。家賃負担を少しでも軽減できれば、経営者も助かると思った」と話す。一方で、「本当はもっと、国などが積極的に支援すべきなのだが」と、国や自治体による公的支援の必要性を指摘する。

家賃に関しては、オーナー側にも簡単に減額できない事情があるという。屋仁川通りのテナント仲介なども行っている同市名瀬金久町の不動産会社「あっとホーム」の伊東末隆さん(72)は「オーナーの中には、金融機関からの借入金の返済が終わっておらず、家賃収入が無くなれば、支払いが出来なくなるところもある。家賃を減額しないオーナーが責められるようなことがないよう注意する必要がある」などと指摘。民間レベルで家賃減額などの支援が広がることを歓迎しながらも、オーナー側のみに負担を強いる風潮が広がることを懸念、「最終的には国が責任を持って支援策を示すべき」と話した。