レース・フォー・ウォーター号出港

知名漁港を出発するレース・フォー・ウォーター号=14日、知名町=(提供写真)


今井力夫町長(左)にゼリ・ジャパンから届いた感謝状を手渡した石田秀輝さん(右)=15日、知名町役場=

コロナで2カ月足止め 知名町に感謝状届く

 【沖永良部】ボンボヤージュ(よい旅を)――。世界を一周しながら海洋プラスチックごみ問題の解決策を探っている船「レース・フォー・ウォーター」号が14日朝、知名町白浜漁港を出港した。3月3日に沖永良部到着後、1週間ほど停泊する予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で出発を見合わせていた。15日、船の活動を支援する特定非営利活動法人ゼリ・ジャパンから長期停泊に対する感謝状が町に届いた。

 2017年にフランスを出て、5年をかけて世界を一周するプロジェクトの途中で寄港した。船は、再生可能エネルギー(太陽光・風力)と、海水から作り出した水素を蓄えた燃料電池で進む。化石燃料は使わない。航海中は海洋プラスチックごみの汚染状況の調査を行い、各停泊地では子ども向けの環境教育イベントを開催している。乗組員は5人、全員フランス人。

 台風の影響を避けるため14日午前9時ごろ知名漁港を出発。見送りに訪れた役場職員らが「ボンボヤージュ」と声を掛けた。

 15日朝には奄美大島の古仁屋港に到着した。2週間ほど停泊したのち東京へ移動し、今年8月にはフランスに向けて出発する予定。

 15日、ゼリ・ジャパンの代理として同町在住で東北大学名誉教授の石田秀輝さんが役場を訪れ、今井力夫町長に感謝状を手渡した。

 今井町長は「感染症の影響で予定していた小学校でのイベントは実施できなかったが、海洋プラスチックごみの問題を多くの島民に知ってもらう機会になった」と話した。

 石田さんは「2カ月以上停泊させてもらい感謝している。乗組員は自転車で島を一周したり、地元の人から特産品のジャガイモをもらったりした」と語り、海洋プラスチックごみ問題については「海に出てしまったプラごみを全て回収するのは難しい。今後、町もプラスチックを出さない努力をしていく必要がある」と提言した。