ダイナミックな空間に

写真下段奥から「人道橋」、中断手前は整備中の町道「第2鹿浦橋」、上段は県道「鹿浦大橋」(円内は遠景)=28日、伊仙町鹿浦

鹿浦の今、歴史見つめ3橋 伊仙町

 【徳之島】伊仙町の鹿浦集落と鹿浦渓谷をまたぐ県道「鹿浦大橋」(全長240㍍)。その直下約60㍍のダイナミックな空間の足元には整備中の町道「第2鹿浦橋」(22・8㍍)。さらにその奥には架け替え後、半世紀余とみられる無名の人道橋。視座を変えると〝3世代〟のコンクリート橋の対比がおもしろい。

 「鹿浦大橋」は、天城町秋利神渓谷の「天城大橋」(245㍍)に次ぐ奄美群島2番目の長大橋。県道・伊仙天城線の鹿浦バイパス整備(工区全長2・4㌔、2004年3月末に開通)の中で建設。農産物輸送の利便性を含め、交通環境を飛躍的に改善した。

 一方で、同バイパス化で伊仙町に移管された旧県道の町道「第2鹿浦橋」の架け替え整備は、14年度の設計発注で事業着手。旧橋の解体や新橋りょう本体建設を含め規模的には〝2年継続程度〟。だが、下部工施工中の台風高波による洗堀被害など自然災害もあり一部工法を変更。さらに今年1月下旬の町議会では、上部工関連の工事請負契約変更(増額)案が否決された。 事業着手からじつに6年(投入事業費は計約3億3千万円)。町建設課によると、完成・開通後は、鹿浦漁港や阿権浜など風光明媚(び)な臨海ルートの観光整備を検討するというが、完工・開通の目途は立っていない。

 老朽化した現「人道橋」(利用不能)は、旧橋の記録写真などから1965年ごろ以降に建て替えられれている。鹿浦集落は明治-昭和中期にかけと黒糖搬出など物流、人事往来などで栄えた港町だった。県の急傾斜崩壊危険区域指定もあって住民の転出(約60戸)が進み、現在は1世帯1人のみが集落の灯りを守っている。