収量わずか1㌧見込み

数えるほどの実しか付いていない大和村のスモモ。暖冬の影響で過去最低の収穫量が見込まれる

大和村スモモ、暖冬で記録的不作
JA共販めど立たず

 初夏の味覚「奄美プラム(スモモ)」の産地として知られる大和村だが、今期の収量は過去最低を記録するのが確実な状態で、記録的不作で過去最低だった昨年の16㌧をさらに下回り、わずか1㌧程度となる見込みだ。JA共販による出荷のめども立たず、同村湯湾釜の選果場も稼働できない状態が続いている。村は加工品用として、全量を買い上げる方針だが、担当課は「6月中旬ごろまでの収穫期に、どれだけ確保できるのか見通せない」と頭を悩ませている。

 31日、収穫期を迎えた同村大和浜のスモモ畑を訪れると、緑の葉が生い茂るばかりで、赤紫色の果実が数えるほどしかない木々を眺めながら、ため息を付く農業男性(77)の姿があった。

 同地で25年ほど前からスモモを栽培、近年は年間1㌧ほどを出荷しているという男性は「今の時期だと、枝いっぱいにつけた実の重みで、枝が地面につきそうなほどしなっているはずなのに、今年はほとんど実がついていない」と肩を落とした。わずかに付けた実もアオバトなどの食害に見舞われ「最終的に出荷できるのは数十㌔程度では」と話す。

 村産業振興課によると、大和浜集落や大棚集落を中心に約130戸が栽培に取り組んでいるが、今期は、収穫が始まった25日以降に集まった量はわずか50㌔ほど。JA共販に必要な出荷量の確保が見込めず、生果用だけでなく加工用の確保も厳しい見通しだ。

 同村のスモモは、2010年の豪雨災害で園地に土砂が流入するなど被害があり、11年の収穫量は約50㌧まで落ち込んだ。村は、樹勢の衰えた老木の植え替えや土壌改良などへの助成など支援を行い、18年には65㌧にまで回復、さらなる収量増が期待された19年は、前年の台風の影響で大幅に減少した。

 今年は、台風の影響も少なく豊作が期待されたが、2月の開花時期が平年より遅く、花芽と一緒に葉芽が出るなど、例年と違う現象が見られ、一部から収穫への影響を心配する声が出ていた。

 村産業振興課は近年の収量減少の要因として、温暖化による暖冬の影響を指摘する。JAあまみ大島事業本部果樹技術指導員で、長年にわたりスモモ栽培の技術指導を行っている大山綱治さん(58)も今年の不作の要因として暖冬の影響を指摘する一方、「これまでも暖冬による不作の年はあったが、農家の努力で産地としての地位を守ってきた。栽培管理ができている園地と、そうでない園地では、明らかに出来に差がある。来年は暖冬にならないという保証はないが、温暖化だけに原因を押し付けず、来季に向けた栽培管理を続けることが大切」と話した。