奄美市の空き家1049戸

昨年度実施された奄美市の空き家調査。調査員が目視で状況を確認した

 

 

老朽化で改修困難家屋は254戸
今年度中に対策計画策定

 

 奄美市が昨年度実施した「空き家実態調査」の結果、市内に1049戸の空き家が存在することがこのほど分かった。市は、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、空き家の利活用法や倒壊などの恐れのある特定空き家の認定など盛り込んだ「空き家対策計画」を今年度中に策定する方針で、実態調査の結果などをもとに今月中にも計画のたたき台を作成、不動産有識者や弁護士、消防機関などの関係者らで組織する「空き家対策協議会」(仮称)を設置、移住者向けの空き家改修支援など、定住促進も含めた対策を図っていく。

 調査は、市の委託を受けた民間事業所の調査員らが、市内を巡回、地域住民らの情報などをもとに空き家の可能性のある住宅など約4000戸を重点的に調査、空き家の有無や老朽化による倒壊の危険性があるかなどを目視確認した。調査結果は、①建物が良好で利活用可能な状態②利活用するには一部修繕が必要③改修などが難しく老朽化により周囲に危険を及ぼす可能性がある―の3段階に分類した。

 国が5年ごとに実施する住宅土地統計調査によると、2013年度現在で、同市の家屋総数は2万4030戸で、うち8・4%にあたる約2000戸が空き家とされていたが、今回の調査では解体済みも約500件確認されるなど、当初想定よりも空き家の数は減少していることが分かった。

 地域別の空き家状況は、名瀬地区が最も多い639戸で、次いで笠利地区289戸、住用地区91戸。目視確認で判別できなかった建物も約30戸あった。3段階に分類した空き家の状況では、②の一部修繕が必要な空き家が536戸と最も多く、全体の約半数を占めた。③の倒壊の危険がある空き家も254戸あり、①の良好空き家は224戸だった。

 空き家対策を推進する市プロジェクト推進課は、「これまで詳しい実態が分かっていなかった、空き家の状況を把握することができた。今後は、空き家の情報を地図上で確認できるようにし、倒壊などの恐れのある特定空き家の適正管理と定住促進のための改修支援などを進めたい」としている。

 今月中に、「空き家対策計画」のたたき台となる計画案を作成。不動産有識者や弁護士、消防機関などで組織する「空き家対策協議会」で、老朽危険度などをさらに細分化し、特定空き家の認定など管理徹底を図る。