朝日中環境学習

救急キットの実演をする平城さんと生徒ら

生物多様性って何だろう?
奄美博物館・平城さん講師

 奄美市名瀬の朝日中学校(夏迫満弘校長)で12日、1年生95人を対象とした環境学習が行われた。奄美市名瀬長浜町の奄美市立奄美博物館から、職員の平城達哉さんを講師として招き、奄美大島の生物多様性と環境問題について学んだ。生徒らは講師が出題したクイズに次々に手を挙げて回答するなど、熱心に受講していた。

 平城さんは講義冒頭で、自身が世界各国を旅して観察した珍しい動物を紹介。北海道のナキウサギからコスタリカのケツァールまで、多彩な動物が登場した。奄美に近い台湾には、タイワンアオハブやアオショウビンなど、奄美の生物に類似したものも見られたという。

 続いて、生徒らにクイズを出題。奄美大島に生息する10種の野生動物の写真を見せ、種名を当ててもらった。生徒らは次々に手を挙げ、回答した。

 さらに、学校内で観察できる身近な生物として、オオシマトカゲやオキナワキノボリトカゲなどが紹介された。

 そして、危険な生物として、ハブの生態や毒性、噛まれたときの応急処置について学んだ。毒を吸い出す救急キットを実際に使ってみる場面もあった。

 平城さんは生徒らに「奄美大島には、珍しくてここにしかいない生き物がたくさんいる。これが『生物多様性がある』ということ」と説明。生物多様性には▽種の多様性▽生態系の多様性▽遺伝子の多様性―がある。種の多様性についていえば、奄美大島には14種の哺乳類、315種の鳥類、11種の両生類、16種類の爬虫類、3252種の昆虫がいる。

 最後に、奄美大島の生物多様性がマングースやノネコによって脅かされていることが説明された。平城さんは「皆さんにできることは、奄美大島の自然の素晴らしさを知ること、今起きている問題を知ることです」と呼び掛けた。

 生徒代表としてあいさつを述べた重田香凛さんは「今まで知っていたこと以上のことを知ることができ、自然に興味がわいた。ノネコ問題の話が特に印象に残った。奄美の自然が壊されていく現状を知り、守っていかなくてはいけないと思った」と話した。