ふれあい和光塾開講式

収穫したキュウリを見せる参加者

 

ナスを収穫する参加者

 

親子で農作業 ハンセン病を学ぶ

 

 奄美市名瀬の国立療養所奄美和光園(加納達雄園長)で27日、2020年度ふれあい和光塾開講式が開かれた。同塾は園内の農園で市民が野菜を育てながら、入所者との交流を通してハンセン病についての正しい理解を深めるもの。参加した市民ら28人は育てた野菜の収穫や除草作業を行った。

 同園では、1948年には360人の入所者が暮らしていたが、近年は人数の減少・高齢化が進んでいる。現在の入所者は男性6人、女性14人。最高齢の人は99歳、最も若い人は74歳で、平均年齢は86・3歳(6月1日現在)。

 園内の居住区域の奥には広々とした農園が広がっているが、前述のような事情から使用する人が少なくなっていた。2003年に自治会の発案で市民に農園を活用してもらうことを決定。同市教育委員会生涯学習課の主催でふれあい和光塾として開講した。

 同塾の趣旨は▽家族単位で同園での農作業を通してコミュニケーションを図ることで、親子の絆を深める▽入所者との交流を通じて、ハンセン病についての正しい理解と認識を深めるーこと。現在は19家族が1ブロックずつ畑を借りている。

 入所者で、同塾で農作業の指導を行っていた男性Aさんが5月に逝去。開講式では参加者らが黙とうをささげた。加納園長は参加者らに対し「入所者と触れ合ってほしい。体調に留意したうえで、いつでも自由に園に来てください」とあいさつした。

 開講式後は各自の畑で収穫や除草などの作業を行った。入塾2年目の曽麻廣美さんは、ニラ、ネギ、ハンダマなど約10種類の野菜を栽培。孫の中村真生さん(2)に収穫の喜びを教えたいと、一緒にハサミを手にして大きく実ったナスを収穫した。また、亡くなったAさんについて「よく車いすで農園を訪れて、作業している人に声をかけていた」と懐かしんだ。