キビ、ローズグラスなど食害

龍郷町赤尾木地区のローズグラスほ場内で確認したツマジロクサヨトウの幼虫(町農林水産課提供)

ツマジロクサヨトウ発生・被害
奄美8町から報告、注意喚起
県農政部・県病害虫防除所

県農政部経営技術課によると、ガの一種の農業害虫「ツマジロクサヨトウ」の発生・被害報告が、5月末から6月にかけて奄美群島の8町からも入った。6月には、イネ科牧草のローズグラス、サトウキビほ場等での食害報告もあった。農林水産省、県病害虫防除所などでは発生・被害情報を流し、防除対策や防除上の注意を呼び掛けている。

農林水産省ホームページ(HP)でもツマジロクサヨトウに関する情報を流している。「南北アメリカ原産の農業害虫で、トウモロコシ、ソルガム、サトウキビ、野菜類など80種類以上の作物に被害を与え、1世代で500㌔㍍、1晩で最大100㌔㍍移動するなど長距離飛翔することが知られている」「日本では、2019年7月に初確認され、19年末までに西日本を中心として、21府県で発生が確認された」。

昨年7月、鹿児島県南九州市の飼料用トウモロコシほ場1カ所で、ツマジロクサヨトウの発生が確認された。日本国内での発生確認は、初めてとなった。昨年は奄美を含む28市町で被害確認した。

県経営技術課によると、20年に入ってからも県内各市町村の職員がほ場を回ってツマジロクサヨトウの発生、被害を確認したときには、県へ報告している。報告では、奄美群島では、今年5月末に喜界町、徳之島町、天城町、伊仙町、和泊町、知名町から報告があり、6月に与論町、龍郷町から報告が入った。「暖かくなって発生報告が入るようになった」。

奄美群島では、5月末に「緑肥用ソルガム」「牛の飼料用トウモロコシ」の食害を確認し、6月に「イネ科牧草のローズグラス」「サトウキビ」の食害が確認されたという。

喜界町の担当者は「牛の飼料用トウモロコシの一部で被害を確認。広範囲ではない。6月30日現在、キビ被害の報告は入っていない」と話し、龍郷町の担当者は「赤尾木地区でローズグラス被害を確認。7月2日現在、キビ被害の確認はない」などと話した。龍郷町は町の広報誌などで注意喚起している。

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一方、県病害虫防除所は6月29日付で、与論町と龍郷町での被害確認情報をHPに掲載。うち、与論町の情報は▽6月12日、与論町において新植ほ場生育初期のローズグラス4ほ場で、ツマジロクサヨトウの幼虫によって激しく食害されているほ場が確認された▽また、隣接しているキビほ場でも、ツマジロクサヨトウ幼虫(老齢幼虫)による展葉前新葉の食害を認めた(被害株率約10%)―と記している。

防除対策、防除上注意すべき事項も記し、写真を掲載している。