混戦制し、塩田さん初当選

当選した塩田さん(写真左)と妻に花束を手渡し祝福した(12日午後11時ごろ)

「新たな力で変えていく」
県政の立て直しに意欲

 県民は新たなトップを選択した――。12日、即日開票された鹿児島県知事選。現職と新人、元職合わせて過去最多となる候補者7人の混戦を新人で前九州経済産業局長の塩田康一さん(54)=無所属=が制した。「いまでもない、前でもない。新たな力が変えていく」―。県政刷新を唱え、無党派層の取り込みを中心に支持を拡大。塩田さんは「自分を信じて1票を投じてくれた県民の思いにしっかりと応えたい」と意気込みを語った。自民、公明の推薦を受け、2選を目指した現職の三反園訓さん(62)は新人候補の勢いを止められず涙をのんだ。

 鹿児島市荒田の事務所には開票作業前の午後7時過ぎから支持者が集まりだした。同8時に投票が締め切られ、テレビ画面で「当確」の第一報が次々に流れると吉報を待ちわびていた事務所内の関係者や支持者から大きな歓声と拍手が鳴り響いた。

 まもなく姿を現した塩田さんは妻の央子=ようこ=さんとともに壇上に上がった。

 17日間の選挙戦について「大きな地盤はなく草の根で支持を訴えてきた。遊説中、幅広い世代から刷新への応援の広がりを感じていた」と振り返る塩田さん。「当面は新型コロナウイルス感染拡大と災害対策を進め、社会不安の払しょくにつとめていく。その上で、その先の10、20年を見据えた基盤づくりに取り組みたい」と抱負。地方創生を基本にした産業振興、脱原発姿勢などマニフェストの実行を強調し、あらためて県政運営の立て直しに意欲を示した。

 山下朋子後援会長は当選を祝福し、「新しい風を望む県民の良識が今回の結果となって表れた。令和の『西郷どん』として頑張ってほしい」とエール。顔をほころばせて喜んだ。

 事務所裏の駐車場に設けた祝勝会場は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、「三密」を避け、万歳三唱などをしない異例のしめやかな場に。田口新一選対本部長による一本締めで、厳しい戦いに勝利した喜びを全員で分かち合った。