知事選当選者インタビュー 塩田康一氏

県政立て直し、新たな体制に意欲
「22万票の重み受け止める」

 戦後最多の7候補が争った鹿児島県知事選挙。再選を目指す現職に元職1人、新人5人の乱戦を制し初当選を果たしたのは、無所属新人で前九州経済産業局長の塩田康一氏(54)。開票日(12日)から一夜明け、あらためて県政のリーダーへの思いを聞いた。

 乱戦模様だった選挙を終え、いまの感想は。

 17日間は長かった。特に後半は体力的にもきつく感じていたが、選挙後半は手を振ると通行人や車両からの反応が目に見えて増えてきた。気持ちを奮い立たせて最後までやり通した。

 新聞の朝刊を読んで(当選の)少しずつ実感が沸いてきた。昨夜から多くの電話やメールが届いている。きょうはいつも通りの朝だったが、選挙戦疲れがそのうち出てくるかもしれない(笑)

 選挙結果を踏まえ、知事としての決意は。

 大きな組織や団体、政党支援を持たない中で県民の一人一人から草の根的に支えていただいた。22万票という多くの思いに応えなければならない立場と理解している。まずは、新型コロナウイルス感染拡大防止と災害対策を進めることが急務だろう。

 勝因をどう見ている。

 現職への批判票が大きかったのでは。それに加え、若さと行政経験などを有権者が総合的に見、自分への期待感として表れたと認識している。いま(現職)でもない、前(元職)でもないという選挙中のフレーズ。説明責任の役割を果たし、リーダーシップを発揮し過ぎることのないよう、あるべきトップ像として県民の声にしっかりと耳を傾けていく。

 離島振興について。

 鹿児島は、奄美群島や種子島・屋久島など多様な自然と文化を持つ離島エリアを抱える。本土と異なる地域財産を生かしながら地域産業を支援していきたい。

 また奄美については世界自然遺産登録実現に向け、引き続き各種事業の推進が必要。また観光産業を中心とした離島での生活基盤整備を検討したい。

 新知事就任で県職員、県議会との関係構築をどう考えているか。

 川内原発の運転延長、馬毛島の米空母艦載機離着陸訓練(FLPC)移転、鹿児島市内の再開発など積み残しとなった課題は山積。それらの解消のためにも職員の意見をしっかりと聞いて判断する姿勢で、今後の組織づくりにつとめたい。副知事職の人事はこれから。

 また県議会については県政運営の中で最大会派の自民党ほか、各党会派との間で調整が必要な場面が出てくる。行政推進のためにも必要な関係を構築したい。
 (聞き手・川内博文)
 

 メモ

 経産省官僚という地位を捨てて政治の道を選んだ。大きな支持基盤を持たず、まさに草の根での戦い。選挙戦では現県政からの転換を静かに、だが力強く訴えた。当選の実感を問うと、「徐々に出てくるかもしれない」。当選後も謙虚なその姿勢は崩さない。

 家族は妻と1男1女。

 選挙活動には家族や親族も駆け付け、献身的にサポートした。特に遊説に同行して支えた妻・央子さん(53)には「慣れないあいさつ回りなどで苦労を掛けた。まだゆっくり話せていないので、落ち着いたら一緒に当選を祝いたい」と愛妻家の一面をのぞかせた。