大島地区7月子牛セリ市

平均価格60万円に上昇
前回比では3回ぶり 牛肉消費、徐々に増加

 JA県経済連肉用牛課奄美市駐在は15日、7月の大島地区子牛セリ市結果をまとめ公表した。市況をみると、価格の総平均は60万57円で、前回(今年5月)比8万7051円高と上昇した。子牛セリは2カ月に1回の割合で、群島内6市場で行われており、前回比上昇は今年1月セリ以来(3月・5月セリは下落)3回ぶり。

 6日の与論市場を皮切りに12日の喜界市場まで行われた今回のセリ市の入場頭数は1643頭(めす676頭、去勢967頭)で、全頭数が売却された。

 平均価格は、めす54万8388円(前回比9万5577円高、21・1%増)、去勢63万6178円(同8万243円高、14・4%増)となり、いずれも上昇しているが、特にめすは2割以上上回った。

 合計平均価格にかかわる市場ごとの順位をみると、徳之島の62万2275円を筆頭に、沖永良部、笠利、瀬戸内、喜界、与論の順。購買者から見た子牛価格の指標である平均単価で市場を格付けすると、沖永良部の2251円(キロ当たり)を筆頭に、徳之島、喜界、与論、瀬戸内の順で、笠利は体重計の故障で計測できなかった。セリ日齢にかかわる市場ごとの若齢順位は、沖永良部258・9日、喜界260日、瀬戸内261日、徳之島263日、笠利264日、与論270日の順。

 新型コロナウイルス感染への警戒が必要な中、今回のセリ市も感染防止対策を万全に実施した上で開催。奄美市駐在によるとマスク着用や消毒はもちろん、5月に引き続いて生産者には市場場内への立ち入り禁止や、購買者が下見の時間になったら、つなぎ場から離れて十分な距離(3~4㍍)を取ってもらうなど「密にならないよう、通常のセリ入りとは違った対応となった。みなさんの協力のもと無事に終えることができたことに感謝したい」としている。

 前回より上昇した子牛相場の要因については、▽緊急事態宣言解除後の消費拡大運動によって牛肉消費が宣言時に比べ少しずつ増えてきている▽経済活動が少しずつ戻りつつある―を挙げる。購買者についても、多い市場では30~40人など通常どおりの購買者が来島し購買したという。さらに繁殖用としてめす牛を地元農家が導入する動きがいつもよりあったことから、めすの価格が大きく上がる要因となった。

 奄美市駐在は「子牛価格が前回よりも上昇したことで、商品性の向上について考えることを忘れがちになるが、子牛価格が持ち直し、資金に余裕があるうちに、生産基盤を整えておくことが必要」と指摘している。