感染者急増、不安広がる

観光シーズンを迎えた与論町の赤崎海岸=24日、同町=

医療体制に募る危機感
新型コロナ与論 「全員が疑心暗鬼に」

 【沖永良部】新型コロナウイルスの感染者が22日からの3日間で計23人となった与論町。4連休を楽しもうと地元の海岸には多くの観光客が訪れているが、迎える地元住民には不安が広がっている。

 ヨロン島観光協会会長で民宿を経営する永井新孝さん(57)は「観光シーズンに入るというところだったのに、大変な状況になった」。初めての感染者が確認された22日、宿泊客に状況を説明して感染予防策の徹底を呼び掛け、さらに翌日、感染者が増加したことで予約客に来島を検討するよう連絡した。4連休中に合計60人ほどの観光客を受け入れる予定だった。「この状況でも『(与論に)行きたい』と言ってくれる観光客がいる。うれしいけど難しい。早く収束して元の与論島に戻って欲しい」と話した。

 同町商工会会長で居酒屋を経営する田畑克夫さん(61)は、23日に11人の感染が確認されたことを受け、自主的にお店の休業を決めた。「これまでは島外からの感染予防対策が中心だったが、島民が感染したことで状況が一変した。観光客や島民を守るためにもお店を開くわけにはいかない。感染者が多く、どこまで広がるか分からないので島民全員が疑心暗鬼になっている」と語った。

 妊婦の支援事業を行っている「よろん出産子育て応援隊あんまぁ~ず」代表の内野正世さん(39)は「病院が救急外来だけの対応になり、妊婦さんの行き場がない。産婦人科の医師もしばらくは島に来てくれないのはないかと心配している。収束しないと、先に進めない」と危機感を募らせた。