大雨特別警報、発令基準を変更

 

奄美地方、全市町村単位で発令へ
気象庁 早めの避難、災害警戒呼び掛け

気象庁は30日から、大雨特別警報を出す発令基準を見直し、新たな基準での運用を開始した。これに伴い奄美地方でも、局所的な豪雨などに対して全市町村単位で特別警報の発令が出せるようになり、より細かな範囲での判定が可能に。より早めの避難、多発する災害への警戒を呼び掛ける。

これまでの基準は、国内全域を5㌔四方の区画に分け、雨量などから区画ごとに土砂災害の危険度を計算。危険度が一定値に達した区画に大雨特別警報を発表していたが、地域によっては危険度と必ずしも相関しないケースもあった。

例えば、沖永良部と喜界はこれまで同じ区画で、沖永良部で発令された場合、状況の異なる喜界でも同時に発令。同じ危険度と見なされ、同等の対応を余儀なくされた。

新たな基準では、区画を5㌔四方から1㌔四方に細分化。この見直しで奄美地方内でも全市町村単位での発令が可能となり、状況把握のための精度が向上する。

また今回の見直しでは、台風を要因とした大雨特別警報も廃止。これまでは雨量が特別警報級の場合でもレベルを下げるなど、台風の基準に合わせて発表してきたが、単独運用にすることで矛盾を解決。呼び掛けにも、「もはや命を守るために最善を尽くさなければならない状況」と加えるなど、より手遅れ感が伝わるように工夫も加えた。

気象庁によると大雨特別警報は、避難勧告などに相当する気象現象をはるかに超えるような現象が対象。「基準の見直しで、特別警報が発表された地域では、土砂災害がすでに起きている可能性がさらに上がる。改めて発表を待たず早めの防災対応をとってほしい」としている。