介護従事者らがコロナ研修会

意見交換をする介護従事者ら

「対策は高齢者を守る戦」「当事者意識持って」

奄美大島介護事業所協議会と鹿児島県介護支援専門員協議会奄美大島・喜界島支部は1日、新型コロナウイルス感染症対策合同研修会を奄美病院研修センターで開いた。大和村の大和診療所所長・小川信医師を講師に迎え、島内で感染者が出た場合の事業所運営について意見交換を行った。

両協議会の理事・役員ら21人が出席。小川医師から感染症対策の講義を受けた。小川医師はまず、当事者意識を持つことの必要性を指摘。根拠なく「奄美大島でコロナは出ないだろう」と思い込んでしまう「正常性バイアス」の恐ろしさについて説明した。

次いで、北海道の介護事業所でクラスターが発生した際の現場の混乱を例として紹介し、感染が発覚すれば職員の半分以上が勤務できなくなる可能性があることを示した。

他事業所から応援が来た時のために、日常業務のマニュアル化が必要であり、また感染のフェーズごとの対応を示したBCP(Business Continuty Plan、災害時の事業継続計画)を策定しておくことが大切と説明した。

また、感染者・濃厚接触者に対する差別についても警鐘を鳴らした。差別は「自分も感染するかもしれない」という恐怖心から来るものであり、その恐怖や苦しみをほかの人に話すことが大切と心理的メカニズムを説明した。

講義にはこのほか、防護服の着脱の練習が必要であること、体温の記録はグラフ化することなど実践的なアドバイスが盛り込まれていた。

小川医師は講義の最後に「コロナ対策は高齢者を守るための戦(いくさ)」「怖い・苦しいと感じた時、分かってくれる人とのつながりを大切に」と伝え、講義を締めくくった。

続く意見交換では「離島からPCR検査の検体を送った場合、結果判明までに何日かかるか」「コロナとインフルエンザの同時流行はありうるのか」といった質問が出た。

また訪問事業者からは「Gotoトラベルキャンペーンで本土の家族が島に帰省しており、訪問しても安全か苦慮している」という悩みも。小川医師を交え、対応について意見交換を行っていた。

参加したケアマネージャーの中里浩然さん(46)は「毎日コロナ関連のニュースを見聞きする中で、どこか他人事のように思っていた。正常性バイアスの恐ろしさを実感した。BCPの大切さについて知ることができ、実用化できるよう職員に周知していこうと思った。これまでやってきた感染症対策を再評価するいい機会になった」と感想を話した。