終戦75年、慰霊塔清掃

「慰霊塔」周辺の清掃に隊友会会員と自衛隊員が参加した

追悼行事は中止
隊友会瀬戸内支部 海自、陸自隊員も参加

 終戦の日(8月15日)を前に、自衛隊OBでつくる県隊友会瀬戸内支部(碩悟支部長)は2日、瀬戸内町古仁屋にある「慰霊塔」(古仁屋高千穂神社内)と「富山丸供養塔」(森山公園内)の清掃活動を行った。自衛隊隊員や遺族会なども参加し、恒久平和を願い建てられた両塔周辺の美化に汗を流した。

 同支部がこの時期に行っている恒例ボランティア。この日は支部会員のほか、海上自衛隊奄美基地分遣隊、陸上自衛隊瀬戸内分屯地、遺族会の計約40人が参加。同日午前中、碑周辺の草刈りや伐採、沿道でのごみ拾いなどをした。

 慰霊塔には日清戦争(1894年)以来、戦没者1121柱の御霊が合祀されている。また供養塔は、第二次世界大戦で古仁屋港を出港し、沖縄に向け航行中に米軍の攻撃を受け沈没した徴用船「富山丸」の犠牲者を悼み建てられたもの。清掃を終えると参加者は碑に線香と花を供え、全員で手を合わせた。

 終戦日の時期になると遺族や関係者の参拝があるという、碩支部長は「尊い犠牲のうえに今日の繁栄があることを忘れてならない。終戦から75年の節目、当時の記憶を風化させないことが大切」と訴え、団体として関連活動を継続していくという。

 なお慰霊塔では例年、戦没者追悼式を実施しているが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止から式典を取りやめた。主催する遺族会関係者は「式の中止は記憶にない。参加者には高齢者も多く、配慮せざるを得ない」と異例の措置であることを話した。