史跡巡り、自然や歴史文化学ぶ

ビーチロックとアダンの林が広がるヒエン浜の希少性などを学ぶ参加者ら

文化協会長中山さん案内
大和村・小中学校の教員ら

 大和村教育委員会は3日、村内の教職員らを対象に、村内の史跡などをめぐる教育講演会を開いた。同村の文化財保護審議員で同村文化協会長の中山昭二さん(66)が、県指定文化財の「群倉(ぼれぐら)」(大和浜)や国定公園ヒエン浜(戸円)など村内各地に点在する文化財や史跡などについて説明、「大和村の歴史文化や貴重な自然を知り、子どもたちに伝えてほしい」などと話した。

 講演会は、同村の郷土教育の一環で、子どもたちの教育を担う教職員に、村内の歴史自然、伝統文化などを知ってもらうことが目的。新型コロナの影響もあり、今回は村内の史跡などを巡るフィールドワークを実施。村内の小中学校の教員29人と村教委の職員4人が参加した。一行はバス2台に乗り、村内各集落にある史跡などを巡った。

 群倉では村内各地で稲作が行われていた戦前、ネズミなどから穀物を守る貯蔵施設の役割を果たしたことや、柱に奄美の山々に自生するイジュの幹が使われていることなどを学んだ。

 国定公園のヒエン浜では、中山さんが板状の石灰質の砂礫岩で形成される「ビーチロック」やアダンが自生する景観について、「奄美の大昔の景観を残す数少ない海岸」などとその希少性を説明。約30年前、護岸工事が計画されたが、地域住民らの反対もあり、景観が守られた歴史なども紹介。「オカヤドカリの貴重な産卵場所でもある。貴重な自然として後世に残してほしい」などと呼びかけた。

 戸円集落と名音集落の海岸では、第二次世界大戦末期の1944年、米軍の攻撃を受け沈没した学童疎開船「対馬丸」の犠牲者らが漂着したことなどを紹介。中山さんは「風光明媚な場所だが、戦争の痛ましい歴史も忘れないでほしい」などと話した。

 今年4月、鹿児島市内の学校から赴任した大和中の小山繁教頭は「ヒエン浜など村の人たちが大切に守ってきた場所がたくさんあることが分かった。機会をみつけ、もう一度ゆっくりと観察し、子どもたちに伝えられることを考えたい」と話した。