大高新聞部コロナ意識調査

アンケートの集計に取り組む新聞部員ら

完成した「大高ジャーナル」を手にした新聞部員ら

危機の中でも前向きさ
社会問題を自分のこととしてとらええる

 県立大島高校の新聞部(玉城優衣部長、顧問・池之上博秋教諭、部員14人)はこのほど、全校生徒737人を対象に、新型コロナウイルスに関する意識調査を実施した。アンケート調査の結果、同校の生徒らは全国の若者と比べ、離島医療体制に高い関心があることが分かった。またクルーズ船寄港をきっかけに国際社会に変化を求めるなど、離島の高校生ならではの意識が明らかになったという。

 新型コロナウイルスの影響による臨時休校期間を経て、同部の話し合いの中で意識調査が発案された。生徒らは日本財団が「18歳意識調査」の中で行った「新型コロナウイルスと社会について」の意識調査と同じ設問でアンケートを作成。全国の若者と離島の高校生との意識の違いを明らかにした。

 「感染拡大を防止するうえで特に重要なこと」という問いには、同校生の54・7%が「収入が減少した家庭への救済措置」と回答。全国の50・1%を4・6ポイント上回った。これについて3年生の玉城部長は「島は自営業者が多く、保護者が減収しているのを間近に見ているからではないか」と分析。

 同じ問いの2位は「医療体制の強化(42・9%)」であり、全国より5・7ポイント高かった。これについて、看護系学部への進学を目指すという3年生の上月亜美副部長は「離島の脆弱な医療体制に不安を感じているためではないか」と分析し、離島ならではの意識であると話した。

 「この危機を受けて、社会のどの部分が変わるべきか」という問いには21・1%が「医療」、14・1%が「教育」、9・6%が「国際社会」と答え、全国を上回っていた。この背景には都市部と比べてオンライン授業等を行う予備校が少ないことや、奄美大島がクルーズ船の寄港地であることが関係していると「大高ジャーナル」は分析している。

 オリジナル設問の「コロナウイルスの感染拡大期間を通して、前向きな気持ちが生まれたか」との問いには「医療従事者への感謝の気持ちが生まれた」「学校生活のありがたさが分かった」「社会問題への関心が高くなった」などの回答が多数寄せられ、危機の中でも暗くならず、社会問題を自分のこととしてとらえる大高生の姿勢が表れた結果となった。

 アンケート調査の集計と記事の執筆を通して、上月副部長は「大高生がSNSを活用して全国に離島医療について発信する場面もあった。『自分たちがするべきことは何か』を考えるきっかけになったと思う」と振り返った。

 玉城部長は「新型コロナウイルスは今までにない世界規模の危機で、現在進行形で先が見えない、初めての体験。そんな中で前向きな回答が多く寄せられ、マイナスをプラスに持っていく結果だった」と総括した。