来島自粛要請を解除

来島自粛が解除された与論島

 

 

感染予防の強化を
クラスター発生から1カ月
新型コロナ与論

 

 【沖永良部】与論町は23日、新型コロナウイルスのクラスター(集団感染)発生以降、1カ月間継続していた来島自粛要請を解除した。最後に感染者が確認された今月7日から2週間が経過し、町内の飲食、宿泊業者らは営業再開や観光客の受け入れの準備を進めている。

 ヨロン島観光協会の町岡安博事務局長(55)は「町は落ち着いてきている。感染者が確認されてから自主的に休業していた居酒屋や飲食店も、次第に営業を再開している」と話す。同協会では、町や商工会と協力して来島自粛要請の期間中に、飲食や宿泊業者らを対象にした研修会を開き、感染予防対策の強化を図ってきた。

 居酒屋を経営する同町商工会の田畑克夫会長(61)は「居酒屋での会食がクラスターの要因の一つと考えられている以上、対面の飛沫防止策を取ってもらうことが居酒屋を再開する最低ライン」と語った。自分のお店にも飛沫防止のアクリル板やビニールシートを設置。店内では、お酒の回し飲みを禁止した。「客同士が接触しないように料理の出し方も工夫するつもり。お客が戻ってくるかは不安だが、いつまでも休んではいられない」。接近している台風8号の動きに注意しながら営業を再開する。

 焼肉店を営む箱山貴洋さん(42)は、SNSを使って弁当の販売や配達を行い、休業期間をしのいだ。同業者と連絡を取り合いながら営業再開の準備をしている。「島内の飲食店が一体となって頑張っていこうという雰囲気になっている。インターネットが得意なので、明るい話題を発信していきたい」と話した。

 ヨロン島観光協会によると、7月の入込客数は例年に比べ6割ほど減少。8月はさらに落ち込むと見込んでいる。

 民宿を経営する同協会の永井新孝会長(57)は「多くの観光客に来てもらいたい気持ちはあるが、再び感染者が出てしまっては困る」と不安を口にした。この1カ月間の予約は全てキャンセルとなり、今月20日から少しずつ営業を始めた。「もとの与論に戻るにはしばらくかかる。新型コロナと上手く付き合っていくしかない」と語った。