「救助活動に感謝」

救助された貨物船乗組員のサリーノさんとロザレスさん(右から)

市内で療養中のフィリピン人船員
奄美大島沖の転覆事故 パナマ船籍貨物船

 奄美大島沖での外国貨物船遭難事故で、救助されたフィリピン人船員2人が16日、搬送された奄美市内のホテルで会見に臨んだ。1等航海士のエドワード・サリーノさん(44)は「私たちの救助に多くの関係機関が携わっていただき、ありがたく思う。体の回復も順調で、無事帰国できることに感謝したい」と述べた。

 第10管区海上保安本部によると、今月2日未明、中国に向けて奄美大島の西約185㌔の海上を航行していたパナマ船籍の貨物船「ガルフ ライブストック1」(1万2千㌧)から遭難信号を受信。同部と奄美海上保安部、海上自衛隊が捜索に当たっていた。

 サリーノさんは2日午後、甲板員のジェイネル・ロザレスさん(30)は4日午後にそれぞれ救助。搬送された奄美大島島内の医療機関で治療と新型コロナウイルスの抗原検査を受け、異常はなかったため市内のホテルで療養していた。

 会見で2人は「だいぶ身体の調子は良くなってきた。救助されてから様々な対応をいただきありがたい」と謝意。家族とは連絡を取り、無事を伝えたことなどを語った。

 サリーノさんは「いろいろあったので帰国後は少しゆっくりしたい」、ロザレスさんは「(救助されたのは)運がよかった。早く妻や両親に会いたい」と取材にこたえた。

 滞在中の必要な手続き、渡航準備は里見海運産業が対応。17日は東シナ海を望む瀬戸内町西古見に出向き、他の乗組員の発見と捜索機関へ感謝の意を込めて献花する予定。19日に帰国の途に就くという。

 同船の乗組員は主にフィリピン人など外国人43人で日本人はいない。現在まで2人の生存、1人の死亡が確認されている。