奄振審議会、オンライン開催

オンラインで開催された「第114回奄美群島振興開発審議会」の様子

講じた施策に意見交換

 【東京】奄美群島振興開発審議会(会長・大川澄人ANAホールディングス㈱常務顧問)は17日、第114回の会議を開催した。新型コロナウイルス感染防止の観点から、WEBでの形式でのものだったが、参加者らは活発な意見を交わしていた。

 議事は、奄美群島振興開発特別措置法第41条に基づき、2019年度に奄美群島の振興開発に関して講じた施策についての報告などをすること。大川会長、鹿児島大学教授の石塚孔信副会長、女性農業者グループ「スマイル」代表の本部玲子さんら11人の委員のうち9人がそろった。徳之島町の高岡秀規町長(大島郡町村会会長)も参加。「奄美群島の振興開発にご尽力していただき感謝している。クラスター発生で、受けた難局を乗り切るため、皆さんとの連携を推し進めていきたい」とこの4月に就任した、大島郡町村会会長としてあいさつした。

 国土交通省からは、地域の特性に即した農林水産業、商工業の産業の振興開発に関する施策を皮切りに、観光の開発に関する施策、道路港湾、防災、教育・文化の振興までの施策状況が報告された。「黒糖焼酎などの地場産業について、奄美群島内外の市場における競争力の強化などを実施」「大和村の施設改修など、避難施設等の整備を実施した」などが実績として付け加えられた。

 また、コロナ禍でスポーツ交流促進事業の影響などについての質問には、奄美群島広域事務組合の信島賢志事務局長が対応。「スポーツ合宿で、7月8月に10件のキャンセルが相次ぎ、12月に1組あるのみ。プロ野球DeNA横浜ベイスターズの秋季キャンプも中止になった」としながらも、民間チャレンジ事業では「大島紬を使った『奄美ウェア』など、7事業を採択した」との成果も紹介された。

 さらに、徳之島型モデルICT活用教育推進事業の効果を、高岡町長が説明。「遠隔教育が、小規模校の良さを引き出すと始めた」ときっかけを語り、「4校(母間、花徳、山、手々小学校)で実施しているが、基礎学力の向上に役立っている。教育に力を入れることこそが地域振興のため必要だ」と力説した。

 ほか、参加者からは「奄美の集落の文化や食の魅力に、3密が伴う」との問題点も上げられるなど、活発な意見が飛び交っていた。その後、国交省の補足説明がされ、大川会長が「インフラをしっかりして、奄美から東京、世界に発信することこそが大切ではないか」とあいさつして、会議を締めくくった。