クロウサギ交通事故防止へ

アマミノクロウサギ

「ゆとりある運転を」
増加傾向続く 環境省キャンペーン開始

 環境省は、今年度の「アマミノクロウサギ交通事故防止キャンペーン」を15日から始めた。対象地域はアマミノクロウサギが生息する奄美大島と徳之島。野生生物の保護に関する普及啓発を目的。2004年から交通事故の増加傾向が続くなか、今年は観光客が増加する夏期から、活動が活発になり交通事故が多く発生する秋期まで実施する。

 国の天然記念物で、環境省のレッドリストIB類に指定されているアマミノクロウサギ。同省は保護増殖事業として、生息状況のモニタリング調査や交通事故防止対策などを実施している。

 同省が発表した「アマミノクロウサギ交通事故確認件数」によると、調査開始の00年から20年8月末の間で確認件数は296件。うちけがや病気として保護された個体は20件のみで、ほぼ死亡した状態で発見されたという。

 事故は15年以降増加傾向が続いており、18年に最も多い件数(奄美大島21件、徳之島19件)を記録した。
先月末までの記録では、奄美大島で25件を確認。最多だった17年の26件に迫る数字として、同省は警戒を強めている。

 アマミノクロウサギは夜行性で、見通しの良い場所でエサを食しフンをする。近年は林道だけでなく、国道などの主要道路でも事故が多発。カーブや見通しの悪い道路での発生が目立つという。

 交通事故防止キャンペーンは11月15日まで。大和村の環境省奄美野生生物保護センターでの特別展や、関係各所へのポスター掲示、広報誌での発信、両島でのイベントを開催する。イベントではクロウサギをモチーフにしたマスコット「あまくろ」が登場し、チラシを配布する。

 同省奄美群島国立公園管理事務所の早瀬穂奈実さんは「地域の方、来島者双方に意識付けができたら。特に今年に入ってからは交通事故が多発しているので、ゆとりある速度で運転することを心掛けてほしい」と呼び掛けている。