西郷隆盛の遺徳しのぶ

西郷隆盛の命日に執り行われた芦花部の南洲神社での例大祭

没後143年 芦花部の南洲神社で例大祭
コロナ禍、少人数で参拝

 没後143年、今年も遺徳しのぶ―。西郷隆盛の命日に当たる24日、奄美市名瀬芦花部にある南洲神社で例大祭が行われた。今年は、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮して少人数の参拝者で執り行われ、神殿に静かに拝礼した。一昨年、11年ぶりに実施された例大祭を3年連続で開催した。

 『芦花部誌』(福山勇義著)の中に記されている『芦花部南洲神社諸記録より』(写原文通り)によると、龍郷に潜居していた西郷が、1860年から61年の間の半年間、芦花部に滞在し、「子弟に教育や狩猟、漁を教えた」などの内容が記されている。

 西郷南洲翁を御神体とすべく、1940(昭和15)年11月に鹿児島南洲神社において御神体分霊を行い、同年12月に地鎮祭、遷座祭、鎮座祭を行った。南洲神社記事の中では「桜苗二百本霧島十本を境内及び指導館の周囲に植え付けた」との内容の記録もある。

 例大祭は一昨年、奄美市名瀬の高千穂神社の禰宜で、南洲神社の宮司を兼ねる當郷裕之さん(53)が、芦花部集落の町内会に声を掛けて11年ぶりに行われた。

 この日の例大祭には、集落住民、奄美西郷塾(安田荘一郎塾長)メンバーら9人が参列した。當郷さんの進行の下、祝詞奏上、玉串拝礼など神事を行った。

 當郷さんは「南洲翁は『敬天愛人』の誠の心で世のため人のために尽くされた」「コロナ禍が続く中、今日は静かに例大祭を執り行った。これからも皆さんや集落住民の協力を得ながら例大祭を続けていけたらと思う。コロナの一日も早い収束を願う」と述べた。

 南洲神社は、奄美では沖永良部島にもある。