県議会一般質問

「あらためて検討の考えない」
嘉徳海岸護岸工事の工法で答弁
蓄電池モデル 離島市町村も検討

 9月定例県議会は24日から一般質問に入った。同日は平良行雄議員=共産、鹿児島市・鹿児島郡区=、東清剛議員=無所属、日置市区=、小幡興太郎議員=自民、出水市区=、田畑浩一郎議員=自民、南九州市区=が登壇。県の計画に対し反対住民などによる住民訴訟も起きている中、工法などの問題から平良議員が慎重な判断による着工の先延ばしを求めた嘉徳海岸(瀬戸内町)の護岸工事について当局は「自然環境に十分配慮し、現地に適した工法」として、「あらためて(工法の)検討を行う考えは持っていない」と答弁した。

 嘉徳海岸の護岸工事では、同海岸が奄美群島国立公園内に位置し自然環境に優れた海岸であることから県は事業計画の策定にあたり2017年度、専門家や地元住民等で構成する検討委員会を設置。検討委で示された整備方針に基づき計画延長を530㍍のうち、背後地に住宅および墓地のある180㍍を護岸整備の必要な区間とするとともに、工法につては台風時等に発生する外力へ並行する重力式コンクリート護岸に加え、自然環境に配慮するため護岸全面に盛土を行いアダン植栽。工費総額は3億4千万円を予定しており、工事に向けて19年度からブロック製作に着手している。

 平良議員は、総合的に判断した上で県の新たな対応を質問。兒島優一土木部長は答弁で「検討委においては安全性が高く、かつ従前の自然環境に極力近づける工法など十分に検討が行われ、整備方法がとりまとめられた。この整備方針に基づいて実施される嘉徳海岸の工事については、自然環境に十分配慮し、現地に適した工法となっている」と述べ、工法の再検討を否定した。一方、地元住民との意見交換については「引き続きさせていただく」との答弁があった。

 再生可能エネルギーでは、塩田康一知事がマニフェストで「エネルギーの地産地消に大きな役割を果たす」と掲げている蓄電池が取り上げられた。藤本徳昭企画部長は、答弁で▽今年度から市町村等と連携し、蓄電池の活用を含め公共施設等における地産地消型エネルギーシステムの構築に向けた取り組みを進める▽県内の一、二自治体をモデルに選定して検討を行い、来年度の国の補助事業等も活用しながら進める―を挙げ、離島についても「21年度において離島の市町村もモデルに含むことができないか検討したい」と述べた。

 新型コロナウイルス感染症関係では、PCR検査大幅拡充、離島での水際対策強化で答弁。県では6月補正、8月補正でPCR検査関係予算を増額したことにより、全ての整備が完了すれば合計26検査機関において1日当たり444人の検査が可能となる見込み。地頭所恵・くらし保健福祉部長は「クラスター(感染者集団)発生など検査需要が増加する可能性があることから、引き続き検査体制の拡充に努めたい」と述べた。離島の県管理空港・港湾では非接触型体温計による水際対策が進められてきたが、多くの人を一度に測定できるサーモグラフィーによる検温に切り替え体制を強化しているとの説明があった。