初当選果たした隈崎喜界町長

初当選果たした隈崎喜界町長

「支える側から動かす立場に」
継承路線さらに発展へノーサイドでまちづくり
新首長インタビュー

 新人同士の一騎打ちで争われた喜界町長選挙は、現職から後継者指名を受けて出馬した、元副町長の隈崎悦男氏(66)が、2536票を獲得し、初当選した。開票から一夜明けた28日、町政のあらたな舵取り役に、選挙戦を振り返りながら、地域の未来像を聞いた。

 20年ぶりという町長選を終え、いまの感想と勝因は。

 僅差だった票数を考えるとまさに地域を二分した厳しい戦い。自分たちの陣営は草の根で支持を集める総力戦での努力が実ったと思う。特に後援会の青年部や婦人部が精力的に頑張ってくれた。しがらみのない、政策本位の訴えが支持拡大につながった。

 厳しい戦いから、町民の間にしこりが残る懸念があるが。

 政策的な意見での反発はあったと思うが、後を引くような、いわゆる「しこり」はないと考えている。ノーサイドでこれからのまちづくりを考えていきたい。新型コロナウイルス対策の早急な対応もあり、仲たがいしている場合ではないことは共通認識であるはず。

 現職の川島健勇町政からの継承、新たに打ち出したい施策は。

 農業生産や観光による外貨獲得、高齢社会を見据えた社会福祉の充実、第2地下ダム建設後の園芸振興は推進していく。これからは妊婦支援など子育て政策、早急なコロナ対策を重視したい。国が進める行政のデジタル化にも関心がある。

 対抗馬から、現町政の問題点に住民や町職員との距離感を指摘された。

 指摘された部分に関してはしっかりと取り組む。距離感を感じているのであれば膝を交えて「語る会」を開いたり、直接意見を聞いたりして、すぐにこたえられる姿勢を示したい。

 議会のねじれ構造も懸念される。

 選挙時、議員選立候補は両陣営に分かれたが、施策の違いはあっても地域発展のための方向性は同じでねじれは生じていない。新たな議会体制とともに町政運営を図りたい。

 いよいよ隈崎町政がスタートする。

 役場時代は建設課長、総務課長などのポストを経て副町長を務めた。その間4代の町長のそばで町政に携わってきた。組織(トップ)を支える側から、これからは動かす立場になる。抱える課題は多い。任期4年間ゆっくりしている時間はなく、この町をけん引する役割を全力で果たしたい。
 (聞き手・川内博文)
 

メモ

 (くまさき・えつお)1981年喜界町役場入り。建設や総務各課で行政業務に携わり、2015年定年退職。副町長を19年4月から今年6月まで務めた。
 家族は妻と1男2女。選挙活動には家族が献身的にサポート。選挙に勝利した際、妻・育子さん(61)に当選祝いの花束を贈って労った。趣味はアマチュア無線やバンド活動など多彩。自身のSNS「フェイスブック」で近況を発信する。「選挙を通じて様々な意見に耳を傾ける姿勢の大切さを実感。SNSを通じて自分の思いを発信したい」と述べている。