観光ツアー回復に兆し

観光ツアー回復に兆し

GoToトラベル(割引クーポン)活用者も目立った『さぁ行こう!徳之島3日間』ツアー一行=11日、徳之島空港

「GoToトラベル」恩恵も
徳之島

 【徳之島】新型コロナウイルス緊急事態宣言(4月7日7都道府県7~5月25日までに全国解除)後の国内観光需要の喚起を目的にした政府の「GoToトラベル」。徳之島地区でも観光宿泊客数が一時「例年の約9割減」(宿泊業者)にまで下落した中、さまざまな矛盾点や課題を露呈させつつも、同割引クーポン利用客を含む団体ツアー一行も来島。ようやく長いトンネルを抜け出せそうなムードが戻りつつある。

 11日正午すぎの徳之島空港。マスク姿で降り立ち、到着ロビーで新型コロナ水際対策の検温を受け、添乗員の説明に耳を傾けて大型観光バスに乗り込んだJTB集客ツアーの『さぁ行こう!徳之島3日間』の旅一行21人。GoToトラベルの割引(最大35%)を活用し、世界自然遺産登録推薦地域の一つでもある島の大自然や人とのふれあいなどをお目当てにした関西地区の出身者たちが中心だ。なかには父祖の地への墓参も兼ねて子や孫ら一家7人で参加したグループも。

 従来の団体ツアーは、〝南の島々巡り〟的に、近隣他島との組み合わせたルート設定だった。地元宿泊業やバス会社の関係者によると、ターゲットを徳之島だけに絞った団体ツアーの設定・集客はJTBの『さぁ行こう!徳之島3日間』が初。先月下旬に始まり、今回で既に第4弾。同島のみ設定の背景には、コロナ禍にあって移動時間が長い海路利用を避ける目的もあるとか。

 同島のマリンレジャーリゾート、全日本実業団陸上など各種スポーツ合宿の拠点でもあるホテルサンセットリゾート(天城町与名間)の宮田正行支配人(46)は、コロナ禍の影響に「3月以降は例年の約9割減にまで落ち込んだが、ようやく活気が戻りつつある。GoToトラベルは(手続きが)出来たつもりが、成立してなかったりと、申請が面倒なのが難点。GoToイート(飲食)にしても島内での利用可能店舗が明確でなく、連携・調整が必要」。コロナ禍の逆転の発想で地元の受け皿など「観光態勢を整える時間にすべき」とも話した。

 冬季スポーツ合宿は毎年約30団体・延べ3千~4千人を受け入れている。現在の予約状況は「スポーツ合宿については唯一例年通りで、キャンセルなどの影響はない」という。

 「さぁ行こう!徳之島3日間」旅一行を出迎えた徳之島総合陸運㈱の観光バス運転士の川越健二さん(65)も、「本土からのお客さんにとってはこの島の自然が最大の魅力。私も来島(Iターン)直後はそうだった。島の人たちもそのことを再認識して欲しい」と話し、回復の兆しを見せ始めた観光情勢に目を輝かせていた。