奄美豪雨災害から10年

奄美豪雨災害の様子を伝えるパネル展(11日午前11時ごろ、三太郎の里)

自然災害の教訓伝える
奄美体験交流館と三太郎の里 22日までパネル展

 2010年10月に発生した奄美豪雨災害から10年を迎えることから、奄美市住用町で活動するNPO法人の「健康ど宝」と「すみようヤムラランド」は11日から、同町の奄美体験交流館と三太郎の里で当時の災害の様子などを紹介する「あの日を忘れない!2010年奄美豪雨災害パネル展」を開催している。22日まで両施設それぞれ約160点の写真を展示、自然災害の恐ろしさや防災意識の向上などを呼び掛けている。

 奄美豪雨災害は、記録的な集中豪雨によって河川の氾濫や土砂災害が奄美大島各地で発生、特に同市住用町ではグループホームの入所者2人が犠牲となったほか、市役所の旧住用総合支所が浸水被害に遭うなど深刻な被害を受けた。パネル展は、こうした災害の記録を後世に伝え、防災について考える機会にしてもらおうと、両NPO法人が企画、市役所や両NPO法人が所有する写真などをそれぞれが指定管理を行っている施設で展示している。

 写真には、同町内を流れる河川が氾濫し集落内に濁流が押し寄せ、民家などが浸水した様子などが写っている。同町西仲間の旧支所内では机の上部まで水につかり、駐車場の車両は屋根まで浸水するなどの被害にあった様子。腰までつかった状態で救助活動を行う消防隊員やヘリコプターで救援活動を行う自衛隊の活動なども紹介している。

 市住用観光交流施設「三太郎の里」では館内の休憩スペースに掲示、体験交流館では入口近くの廊下に展示された写真に、来場者らは足を止めて見入っていた。

 パネル展を企画した健康ど宝の保あゆみさん(30)は、「当時は大学生で島外にいたので、実際の被害は知らないが、写真を見ただけで、その恐ろしさが伝わってくる。台風など自然災害の多い島なので、防災意識を高めるためにも、災害の記憶を次の世代につなげていきたい」と話した。

 当時、同支所地域総務課長として災害対応に当たったすみようヤムラランドの満田英和理事長(66)は「ものすごい雨で、あっという間に河川が氾濫し、住用地域全体に濁流が流れ込んだ。防災の重要性を改めて実感させられる出来事だった」と話し、新型コロナウイルスの影響で、様々なイベントが中止となるなか、「10年の節目に、豪雨災害の教訓を伝えよう思った。一人でも多くの人に来場してもらい、家庭や地域で防災について話し合うきっかけにしてほしい」と話している。