コロナ支援で海底清掃

ロープや漁網など堆積した海底ごみを海上に引き揚げた(12日午前10時半、加計呂麻島呑之浦沖)
海底に横わたるロープを回収するダイバー(瀬戸内海を守る会 提供)

加計呂麻島のダイビングスポット
瀬戸内町「きれいな海、見てもらいたい」

コロナ禍で落ち込んだ観光業の回復に向け、瀬戸内町の行政機関と民間事業者が連携して観光資源を守る取り組みが12日、同町加計呂麻島の沿岸で行われた。海底に沈んだごみを地元のダイビング事業者16人が参加。水中の船舶ロープや漁網など大型土のう2袋分を引き上げた。

同町体験型観光メニュー利用者促進事業の一環。「BLUE School Design(ブルースクールデザイン)」=同町清水=が事業受託し、町内のダイビング事業者でつくる「瀬戸内海を守る会」(祝隆之会長、16業者登録)が実施した。

同社は海中作業という観点から守る会登録業者の潜水士、船舶免許を有するメンバーを選抜。作業ポイントは同島呑之浦沖の水深5㍍の海底100㍍四方。16人のダイバーが2班に分かれ、海底に横たわるロープやタイヤ、漁網などを回収した。

長年の堆積で付着物が多かったり、岩に絡んだりしていたため、ナイフでごみを取り除き、ロープは切断してまとめ海上待機する船舶に引き上げ。回収した海底ごみは古仁屋港に移送し、処分した。

同社と守る会は今回の清掃前に、9月下旬から大島海峡内でテスト清掃をしたところ、漁網やブイなどの漁具のほか、プラスチック類の漂着ごみなど6日間で約680㌔を回収。人員規模が大きいこの日の事業では、特にごみの堆積が目立つエリアを中心に清掃することを決めたという。

祝会長は回収量について「意外に多い」と驚き、「漁具は少ない人数では回収が難しい。事業化したことで、かつてない規模で清掃が実現できたことは意義がある」と振り返った。

その上で「いまは観光産業が低迷しているが海底清掃を継続的に行って、来島できなかった観光客にきれいな奄美の海を見てもらいたい」と語った。

同会によると、複雑に入り組んだ海峡内の堆積ポイントは事業者間でも情報を共有しており、地域の環境分析を視野に同社と連携して入江ごとに種類、量など調査を重ねていく考えを明かした。

同町商工観光課はコロナ禍で疲弊した経済・観光の関係事業者を支援する事業目的を強調。牧統俊和係長は「大島海峡は町にとって重要な観光資源。支援策とともに環境整備とイメージアップを重視した事業を推進していく」と述べた。