星野さん、現状や課題について講演

約40人の参加者を前に熱く語る、星野一昭さん

「大切なのは登録後」
第34回武蔵野奄美フォーラム

 【東京】奄美ゆかりの人たちによる講演会「第34回武蔵野奄美フォーラム」(叶芳和会長)がこのほど、小金井市の市民会館萌え木ホールに元環境省自然環境局長で鹿児島大学特任教授の星野一昭さんを招いて開催された。「奄美沖縄世界自然遺産」についての現状や課題などを解説、約40人が熱心に聞き入っていた。

 「奄美世界自然遺産登録どうなるか」との演題で登壇した星野さんは、プロジェクターを駆使して世界自然遺産登録へのスケジュールや、生息する動物の状況をていねいに説明した。ナイトツアーに関しては「一定のルールで山に入るのは問題ない」との見解を示した。

 星野さんは、東大理学部(生物学科)卒、1978年に環境庁(当時)入庁、世界遺産登録後の屋久島の管理に県の課長として関わったほか、知床と小笠原の世界自然遺産登録に環境省の現地所長や本省課長として深く関係し、奄美・沖縄地域の世界自然遺産登録を目指す環境省の実務責任者である、自然環境局長を最後に2014年に退職。いわば「世界自然遺産のプロ」。15年に鹿児島大学特任教授となり、引き続き奄美の世界遺産登録に向けて尽力している。

 熱い講演に続いて質疑応答に。「なぜ群島全体が対象にならないのか」の質問に対して、「標高が高い山を有する所が、固有種を有する地域だから」などと解説、参加者らは納得の表情を浮かべていた。ほかに、「登録に向けて、星野さんのご尽力があったと感謝している」「地元の問題点の指摘も良かった」などの感想が寄せられた。

 講演を終えた星野さんは、「世界自然遺産登録は一過性のものではなく、最終目的ではない。大切なのは、登録後です。それを知ってもらえただけでも、収穫はありましたね」と手応えを語っていた。

武蔵野奄美フォーラムは、社会のさまざまな分野で活躍してきた奄美ゆかりの人の貴重な体験や仕事ぶりを拝聴し、そのことによって自己啓発と親睦を深めることを目的に定期的に開催されている。