沖永良部、4強ならず

悔し気な表情でピッチを後にする沖永良部イレブン=吹上人工芝サッカー場

シード出水中央に敗れる
高校サッカー

 【鹿児島】第99回全国高校サッカー選手権鹿児島県予選第4日は5日、日置市の吹上人工芝サッカー場などで準々決勝4試合があった。

 奄美勢で唯一勝ち残っていた沖永良部がシード出水中央と対戦。0―4で敗れ、準決勝進出は果たせなかった。

 第5日は7日、南さつま市のOOSAKO YUYAスタジアムで準決勝2試合がある。

高校サッカー第4日ハイライト

【準々決勝・沖永良部―出水中央】敵陣に果敢に攻め込む沖永良部イレブン=吹上人工芝サッカー場

胸張れるベスト8
沖永良部 新たな「歴史」切り開く

 どれだけ点差は開いても「やってやろうぜ!」と鼓舞する声が、沖永良部サイドから途切れることはなかった。シード出水中央を相手に0―4の完敗だったが、下瀬喬司監督は「堂々と最後まで戦った。胸を張って島へ帰ろう!」と力強く言い切った。

 中盤の若宮、森が起点になり、細かいパスをつないで、前線の佐々木、泉泰の2トップに入れて得点を狙おうとした。相手のプレスをかいくぐり、何度かゴール前まで持ち込むシーンは作ったが、肝心のシュートを2本しか打てなかった。「これまでの相手なら通じたプレーが通じなかった。4枚のDFの壁が厚かった」と3年生・佐々木春希は悔しがった。

 試合後、応援の保護者らから、声援と拍手が送られた。「島に感動を」「新しい歴史を切り開く」を合言葉に、県選手権初の8強入りを勝ち取ったイレブンの健闘をたたえていた。

 新型コロナの影響で県総体が中止。夏休みの遠征も行けず、選手権も開催されるかどうか分からない中、モチベーションの維持が難しい時期もあった。だが「絶対に開催される」「優勝を目指す」(佐々木)一念で練習を続けた。

 13人の3年生が途中で引退せず、今大会まで続けた。「県総体がなかったから選手権まで続けると言ってくれた3年生がいてうれしかった」と佐々木。1、2年生は「自分たちがレギュラーを取る気持ちで3年生にプレッシャーをかけた」(朝野秀音主将)。高校生のチームと試合できない分、社会人チームの先輩たちが今まで以上に胸を貸してくれた。「サッカーが大好き」の気持ちを育んでくれた小中学生の指導者や、地域の応援も含め、まさしく「オール沖永良部」で勝ち取った初の8強入りだった。

 8強入りは「自分の財産」と感謝する佐々木だったが、優勝できなかったこと、無得点に終わったことが悔やまれた。「このもやもやは大学で晴らす」と誓う。1、2年生には「ベスト4」という新たな目標ができた。「先輩たちが作った財産を胸に自分たちはベスト4以上の新たな歴史を作る」と闘志を燃やしていた。
  (政純一郎)