コロナ禍に笑顔誘う

コロナ禍に笑顔を届けた島民劇「記憶喪失の男達」=28日夜、徳之島町文化会館

徳之島町文化会館 喜劇「記憶喪失の男達」公演
出演者全員、地元でキャスティング

 【徳之島】徳之島町文化会館(実島一仁館長)自主事業の島民劇「記憶喪失の男達」の公演が28、29日の両夜、同会館ホールであった。原作・脚本・演出・出演キャストもすべて島内在住主者たちで手掛けた初の喜劇。新型コロナウイルス対策で、観客動員数も客席定員の約4分の1の160人ずつに制限しつつ、懸命な熱演でコロナ禍の憂さを笑いに変えた。

 同町会館の島民劇企画は、奄美群島の日本復帰運動を描いた2009年度の同会館15周年記念事業「北緯29度線」でスタート。50周年の14年度は「島の夫婦」、20周年の昨年は「この町で~井之川 夏物語」を上演。実島会長によると、5年サイクルでの前回公演の直後、「小規模でも毎年継続を」とスタッフで確認。そして、コロナ禍で今年度の諸イベントが中止を余儀なくされている中、入場者を制限して初の喜劇を採用。6月から練習を重ねてきた。

 島民劇第4弾の「記憶喪失の男達」は、原作・内山亮平さん(同町役場職員)、演出・大樂大聞さん(同会館職員)。記憶喪失の2人組の校長先生役に島口漫談でおなじみの東三彦さん(57)、部下の先生役に井之川中の現役教師・川元善成さん(40)=いずれも町内=をはじめ、出演者8人全員を島内3町在住者たちでキャスティング。

 あらすじは、島出身の校長先生が部下に、牛同士が闘う「闘牛」を実演で示そうと、酔った勢いで頭を激突させ合って気を失い、朝目覚めるとそろって記憶をなくしたことから、てんやわんやの騒動が始まる。

 笑いのツボの刺激や間合いの取り方などが難しい喜劇分野に、全員が懸命に挑み、コロナ禍を癒やしてくれるかのような笑顔を誘った。

 2夜とも前売り券を完売。1日目の終演あいさつで、川元教諭は「練習を重ねていく中で、(コロナ禍の)窮地・逆境にあってもみんなに笑顔を届けるのが一番の目標にした。笑顔で乗り越えて楽しい日々を」と呼びかけていた。