観光、ビジネス目的は半々

各販売店で完売が続出している県民対象のプレミアム付き宿泊券(写真は奄美航空ツーリスト本社営業所)

県民限定プレミアム付き宿泊券 名瀬などすでに完売

 県は25日から、県民を対象にしたプレミアム付き宿泊券の販売を開始した。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けている宿泊業者支援が目的で県内にあるホテルや民泊施設で利用できる。販売窓口の63事業所のうち、すでに40事業所以上が完売する好調ぶり。奄美の旅行関係者によると購入目的は観光、ビジネスの半々と見ている。

 宿泊券は額面5千円(2500円券の2枚1セット)を2500円で購入できる県の「今こそ鹿児島の旅事業」企画の一環。2万セットを先着販売した。29日現在、ホテルや旅館、民泊施設を合わせ計357カ所での利用が可能となっている。

 県内旅行や出張で使いやすく、値段も手ごろな「お得感」が話題を呼び、鹿児島市内など県本土の販売代理店では開業前から買い求める客で列をなしたところも。奄美新聞の取材では奄美航空ツーリスト本社(奄美市名瀬)が100セット、同徳之島営業所(徳之島町)が50セットを即日完売したという。

 奄美群島各離島に窓口があり、50~120セットが割り当てられている一方で、販売状況は温度差があった。

 奄美大島、徳之島の購入者は観光がメーン。販売代理店関係者によると「滞在先の宿泊施設が今回割引適用になったことで買い求めを決めた様子」。また国の観光支援策「GoToトラベル」に絡めた利用が多く、県本土への出張活用の目的も少なくないようだ。

 ただ2島以外の離島はまだ在庫は十分残っている。「券利用できる宿泊施設の問い合わせは開始以降来ているが、地元の買い求めは低調」(与論)、「出張日程が決まり次第など、販売はやや流動的」(沖永良部)などの声が出、群島内で販売実績に偏りが見られた。

 ある旅行代理店は東京など全国各地でコロナ感染が急増していることから、「群島内の観光機運が鈍ってきたのでは」(代理店社員)との見方だ。

 県は旅事業で九州旅行の割引助成を実施しており、近隣県と連携した展開も進める。すでに宮崎県民対象で事業実施済み。次回は熊本県民対象での事業も準備している。今回の鹿県民向け事業では民泊施設の利用促進にもつなげたい意向だ。

 県観光課は「観光立県としてコロナ禍で影響した業界全体の後押しを重視。県本土、県内離島に足を運んでもらえたら」としている。

 同市名瀬のホステル「ミリオンポインツ」の窪田美佐子代表は「これをきっかけに、コロナ禍で低迷した観光宿泊の利用客が増えることを期待したい」と支援事業を歓迎。施設はグループ利用がメーンであるため「群島内の来訪にも期待したい」と話した。