伝統銘柄「マルシカ」で新商品

伝統の独自銘柄を冠した「マルシカ」シリーズ商品発売へ。松永酒造場の3代目女性杜氏の松永晶子さん=5日、伊仙町

黒糖焼酎とリキュール類の3種
伊仙町の㈲松永酒造 3代目女性杜氏の感性で

 【徳之島】奄美黒糖焼酎の製造元の一つ、㈲松永酒造場(伊仙町阿三、松永晶子代表取締役)が、半世紀余前までの自社銘柄「まる鹿(しか)」を復活し冠した黒糖焼酎と、地場農産物を活用したリキュール類2種の計3商品を開発。新型コロナウイルスが消費低迷に拍車を掛けている中、3代続く女性杜氏(とうじ)の松永代表(51)が、「温故知新」と「若い女性にも好まれる商品に」としなやかな感性でこだわり、コロナ禍に奮起した。10日、島内から先行販売する。

 松永酒造場は、奄美群島の日本復帰前年の1952(昭和27)年に、伊仙町のかつての港町・鹿浦で、初代の松永清氏が創業。以来、同氏の妻タケ子さん、娘の玲子さん、孫の晶子さんと3代の女性杜氏が酒蔵を守り68年。鹿浦にもちなんだ銘柄「まる鹿」で親しまれたが、65年に島内5つの酒蔵の共同瓶詰め会社(奄美酒類㈱)の設立、銘柄統一を機に「まる鹿」も販売中止になっていた。

 「造れば売れる時代。(共瓶用に)生産するのが必死で、自分の思いを描くことはできない状況だった。ひと通り焼酎ブームが去ってちょっと余裕が。(リキュール原料では)地元農家たちとつながり、もう一度『まる鹿』を」との構想を温めてきた。そして松永さんがまず着想したのは「女性たちに好まれる、きれいで飲みやすいリキュール」。「まる鹿」は温故知新で伝統の蒸留法で「旨味成分を最大限引き出す」ことにこだわった。そして「コロナ禍にこそ」と奮起した。

 3商品は、▽黒糖焼酎「マルシカ」(アルコール度数25%)▽徳之島産無農薬グァバ茶リキュール「マルシカ」(同12%)▽徳之島産無農薬シーククニン(在来種ミカン)リキュール「マルシカ」(同10%)=いずれも720㍉㍑、小売り価格1550円(税別)。リキュールは料理と組み合わせる「マリア―ジュ」風にも思いを込めている。

 15日からまず島内小売店やインターネットを通じ先行販売を開始、本格的な島外出荷は来年3月を計画している。詳しいことは松永酒造場(電話0997-86-2070)へ。