鹿児島財務事務所セミナー

 
副業・兼業人材を課題解決に活用
企業の事例発表「地域社会活性化のきっかけに」

 

 【鹿児島】九州財務局鹿児島財務事務所が主催する「副業・兼業人材活用セミナー」が15日、鹿児島市のマリンパレス鹿児島であった。企業経営者や自治体、銀行関係者などオンラインも含めて約270人が参加した。奄美からもオフィス青音代表コンサルタントの中村安久社長(龍郷町)=写真=が事例発表をした。

 鹿児島など地方経済界にとって人手・人材不足が共通の課題になっている。課題解決の手段として近年注目されているのが「副業・兼業人材」の活用だ。首都圏の一部企業では正社員でも副業・兼業が認められるようになり、若者や主婦、退職者などを中心に、自身のスキルを生かして地方の課題解決に貢献したいという人材も増えているという。セミナーではこういった人材を活用した企業の具体的な事例などが発表された。

 鹿屋市の食品製造業・オキスではマーケティング、事業戦略、社内の制度設計などで副業人材を活用。同社経営企画部の岡本雄喜課長は「売り上げが上がり、コンサル費用などのコストが圧縮された」と話した。

 青音の中村社長は、インターネットを活用し、フリーランスや副業・兼業人材など不特定多数の業者に業務を外注する「クラウドソーシング」の活用事例を報告した。印鑑や名刺など自社の事務用品、クライアントの商品ロゴマークのデザイン案などを安いコストで高品質なものができた事例を紹介。「クラウドソーシングは中小企業の強い味方。有効活用すれば今後の事業経営の成否を決定づけることにもなり得る」と結論付けた。

 人材を求める地方、自身のスキルを生かしたいと希望する副業・兼業人材、双方にニーズがある中で、今後必要になってくるのは双方をマッチングする「仲介や世話役」と九州財務局の大津俊哉局長。「その役割を地方自治体や金融機関にも担ってもらえるとありがたい。副業・兼業人材の活用を、地域社会活性化のきっかけにしていきたい」と話していた。