「カムィヤキの森」自然・文化ふれる

整備後初の「カムィヤキの森、自然・文化を伝えるエコツアー」=10日、伊仙町

徳之島虹の会主催 エコツアー計17班・約100人参加
伊仙町

 【徳之島】環境省公募事業の2020年度「国立・国定公園への誘客推進事業」で、NPO法人徳之島虹の会(政武文理事長)が伊仙町で進めた「自然と文化の〝地域の宝〟を伝える『カムィヤキの森』のエコツーリズム推進事業」によるルート整備が終了。9、10日の両日、関係機関や一般合わせ約100人を計17班(回)に分けたエコツアーでお披露目した。

 「カムィヤキの森」エリアは、同町伊仙(義名山)―検福地区にかけた奄美群島国立公園(普通地域)を含む照葉樹の国有林。中世期の南島系陶質土器の窯跡群遺跡「徳之島カムィヤキ陶器窯跡」(国指定史跡)周辺の支群なども包含。燃料用の松ヤニ採取痕、旧日本軍が巡らせたという散兵壕(さんぺいごう)の戦争遺跡も存在。多種多様な植物相を育む森林と歴史・文化複合型の重要なエリアだ。

 事業では、森林内をぬった里道(一部林道)を活用した遊歩道整備(区間約800㍍)をはじめ、松くい虫で立ち枯れしたリュウキュウマツの伐倒、同着生ラン類の採取・移植、自然や文化財の解説看板の設置、エコツアーガイド・環境アドバイザー研修会などを実施。整備後初の〝こけら落とし〟的に今回のエコツアー参加(無料)も募っていた。

 初日(9日)は環境省や林野庁、町行政、町議会など関係機関代表交え約20人を招待。徳之島虹の会の政理事長はあいさつで「奄美群島国立公園の理念〝自然も文化も宝〟(生態系管理・環境文化型)にも合致。世界自然遺産登録が実現、新型コロナも収束すると多くの来島が見込める。森の自然と先人たちの息吹を感じて欲しい」と要望。

 環境省・徳之島管理官事務所の福井俊介管理官も「国立公園に指定されて3月で4年。今年夏ごろ世界自然遺産登録の可否が決定するが、登録はゴールではなくスタート。自然遺産推薦地(希少種の多い山間部)以外でも自然観察など学ぶフィールドは必要。島民の方々がまずこの島の自然・文化の価値に気づき、後世に伝えることが何よりも重要です」ともアピール。

 2班に分かれて徳之島エコツアーガイド連絡協議会の美延睦美会長ら認定ガイドの案内で同森林内のルートをたどった。10日の一般対象ツアーは約130人の応募があったが、コロナ対策で83人に絞り込み、計15班(回)に分けて終日行われた。

 友人と徳之島町亀津から参加した直島克子さん(62)は「島のことをもっと知りたいと思った。ガイドさんから植物や自然に絡む歴史・文化のことも知ることができてよかった。これからも機会をとらえて参加したい」と話していた。