「タニムラアオイ」開花

薄暗い森林内の斜面でひっそりと可憐な花を開き始めた徳之島固有種「タニムラアオイ」=12日、同島西部地区

ひっそりと可憐に
徳之島固有種

 ○…徳之島のごく限定的な森林斜面の林床で、カンアオイ属の同島固有種「タニムラカンアオイ」が、独特の形をした可憐な花をひっそりと広げ始めている。盗採圧力などで絶滅の危機が指摘されている同島の固有種の一つ。

 〇…タニムラアオイ(別名タニムラカンアオイ)はウマノスズクサ科カンアオイ属の常緑多年草。1994年に「新種」と記載されたばかりの徳之島固有種で、日本のカンアオイ属の中で唯一白い花(萼裂片、直径約2㌢)を持つ。

 〇…カンアオイ属は成長が遅く生育範囲が広がりにくいため、地方で様々な種に分化。世界自然遺産登録推薦エリアの奄美大島、徳之島だけで計11種の固有種が存在。タニムラアオイについては環境省のレッドリスト(絶滅危惧種)への登録はまだない。

 〇…自生が確認されているエリアは極めて狭小で限定的。狭小な同スポットも年々株数の減少傾向が否めない状況。一方、インターネット上には鉢植え栽培中と見られる同固有種の画像があふれている。

 〇…徳之島3町では独自に採取禁止植物の一つに指定した保護条例を制定(2012年1月24日施行)し、関係機関・団体とともに盗掘・盗採防止の監視を続けている。