14日「ナリムチ」

色鮮やかな「ナリムチ」を買い求めるため来店した買い物客

豊作、商売繁盛、家内繁栄など祈願

 「稲の豊作、商売繁盛、家内繁栄、家内安全など祈願」―。小正月(1月15日)の前日に当たる14日は「ナリムチ」。奄美大島の北大島、徳之島の一部で行われている地域の伝統行事。ブブ木(リュウキュウエノキ)の枝に4色(赤、白、黄、緑色)に着色した餅を、花に見立てて細工し、床の間、仏壇、墓などに飾る。奄美市名瀬の商店などでは10日前後から色鮮やかなナリムチ飾りが店頭に並べられ販売されている。

 改訂名瀬市誌3巻民俗編には「新年の豊作を予祝する、いわゆる予祝行事であるが、『南島雑話』にも記事は見えない。おそらく鹿児島からの新来の行事で、一般に定着しなかったのであろう」「名瀬では14日に餅をついて、黄金がなるというのでブブ木(リュウキュウエノキ)の枝に小指の第一関節くらいの大きさに切ってつけ、部屋の隅々に挿す。この日は墓にもこれを持っていって生ける」との内容の記載がある。

 龍郷町誌には「ナリムチのいわれは、木についた餅のようにと、稲の豊作を祈願するとともに、商売繁盛、家内繁栄などを祈願するものといわれている」などと記している。

 奄美市名瀬井根町の中原商店(中原一成代表)では、9日から大小のナリムチを販売。中原代表らによると、大・中は店用、小は自宅用や墓用として買い求める客が多い。近年は大学受験や高校受験を控えた子どもの「合格祈願」で買い求める客もいるほか、ブブ木のみを買って自分で色付き餅を飾り付ける客も多くなっている。12日正午前に同店へ行くと、次々とナリムチ等を買い求める客が来店していた。